北東北大学野球が1週間遅れで開幕した。新型コロナウイルスの影響で延期となっていたが、全日本大学選手権(6月6日開幕)出場をかけたリーグ戦がスタート。4季連続優勝を狙う富士大(岩手)は八戸学院大(青森)を2-0で下した。プロ注目の最速149キロ右腕、金村尚真投手(4年=岡山学芸館)が5安打8奪三振で完封。背番号と同じリーグ戦通算18勝目を飾った。

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「完全試合男」の金村には2点の援護があれば十分だった。直球やスライダーを軸に「ゾーンで勝負できたのが良かったです」。得点圏に走者を進められても淡々と投げ続け、ものともしない。「勝ちにこだわった結果が完封につながった。勝てたのが一番です」。昨年4月17日のノースアジア大との開幕戦では、リーグ2人目の完全試合を達成。この日は5安打を浴びたが、104球を投じ、無失点で27個のアウトを奪いきった。

9回になってもテンポ良くアウトを重ねた。先頭をわずか2球で遊ゴロに抑えると、後続はスライダーで連続三振。「今年になってスライダーに自信を持ち始め、最後は自信のあるボールでという気持ちがあった。締めの投球は次につながるので、自分の中で大切にしています」。初回、2回といずれも先頭に安打を許し、ピンチを招いたが「自分のピッチングは尻上がりに調子が上がることが多い。感覚自体は悪くなく、あまり心配してなかったです」。要所要所で相手打線を手玉に取った。

富士大の3季連続優勝に貢献してきた。20年秋は防御率0・82、21年春は同0・17、同秋は同0・39と北東北で無双。スカウトも熱視線を送る。「評価されるのは全国で勝ってからだと思いますし、そのためにリーグ戦で勝たないといけない。プロ野球だったり、目指しているものはあるが、まずはリーグ戦に勝つという思いでやっています」と目の前の1勝に全力を注ぐ。

北東北代表としてあの舞台に戻る。昨年の全日本大学選手権は2回戦で国学院大(東都)に2-4で惜敗。7回途中6安打(1本塁打)3失点(自責2)と最後までマウンドを守り抜けず、リベンジへの思いは強い。富士大の大エース金村が、全国でも難攻不落の存在になる。【山田愛斗】