目指せ、スピードスター! 近畿学生野球1部の大阪観光大・久保修外野手(4年=石見智翠館)が今秋ドラフト候補に急浮上している。2日、大公大戦(南港中央)は1安打。同校は春季リーグを終え、打率3割4分9厘、2本塁打だった。プロ級の強肩がウワサを呼び、この春はプロのスカウトが殺到。ドラフト指名も現実味を帯びる。

3回、右腕の外角スライダーに体勢を崩しながら右前へ。「どのチームも直球があまりなかった。変化球を張りながら、しっかりとらえられるように」。遠投120メートルで50メートル走5秒9。鬼肩を見せつける場面はなかったが、シートノックで低く強い送球を披露した。

一躍、ドラフト候補に挙がる。自らも強みを「一番は肩と足。外野ならしっかり守れて打てて理想は元日本ハムの陽岱鋼選手」と話した。この日、広島鞘師スカウトも「肩の強さがあり、足も速い。3拍子のバランスがいい」と評価した。すでに10球団以上が視察。幹部クラスが駆けつけた球団もあり、注目度は高い。

力量は名伯楽のお墨付きだ。ヤクルト、近鉄、巨人などでコーチを歴任し「伊勢大明神」の異名をとった伊勢孝夫氏(77)が特別アドバイザーとして教える。「足が速い。肩が強い。守備範囲も広い。鍛えて鍛えられるモノではない。(ヤクルト)塩見と似ている」と高評価した。広角に打てる打撃でも、非凡さを見いだす。「テイクバックのとき、左肩が(捕手側に)入らないんだ」。内角に対応できる、大切な要素だという。「坂本勇人、中村紀洋も入らない。池山、古田もそうだ」。球界を代表する右打者の教え子になぞらえた。

チームは1部昇格した今春、6勝5敗で勝ち数が先行した。主将の久保は「1部に上がっても勢いのあるチームをみんな見失わず、結果が出ても出なくても最後まであきらめない姿勢だけはやっていこうと。なんとか今日も勝ち切れたのはよかった」と振り返った。自身はプロ志望。「打撃が課題。この秋、首位打者を目標に頑張りたい。(プロは)誰でも行けるわけではない。もし行ければ、選ばれた順位で頑張りたい」と語気を強める。決して野球の名門とはいえない同校から、キラリと逸材の輝きを放っている。【酒井俊作】

◆久保修(くぼ・しゅう)2000年(平12)9月29日、大阪・河内長野市生まれ。千代田小2年から野球を始め、中学では河内長野ボーイズでプレー。石見智翠館(島根)に進学し、2年夏からベンチ入り。高校通算9本塁打。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。