ヤクルト石川雅規投手(42)が、プロ21年目で金字塔を打ち立てた。5回5安打1失点で交流戦今季初勝利を挙げ、通算27勝として歴代単独トップに立った。5回無死からは二塁打を許すも、熟練の投球術でピンチを切り抜けた。今季3勝目で通算180勝。白髪交じりの「小さな巨人」の快投で、チームは球団新記録となる8カード連続勝ち越し。ソフトバンク3連戦初戦となる今日10日にも交流戦優勝が決まる。

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幾度となく、くぐり抜けてきたピンチに動じることはない。石川は表情を崩すこともなければ、悲壮感を漂わすこともない。ただ、バッテリーを組む22歳年下の内山壮のサインにうなずき、丁寧に投げ込む。1点リードの5回先頭打者に二塁打を浴びた。犠打で1死三塁で2番宗。初球、低めのシンカーで引っかけさせて一ゴロ、なおも二塁としても、3番中川圭も追い込んでから低めのシンカーで空振り三振に仕留めた。

5回5安打1失点。今季3勝目は、交流戦初白星だった。「(内山)壮真が本当にいいリードをしてくれましたし、野手も先に点取ってくれたので、そういう意味で自分のペースというか粘りのピッチングができました」。交流戦が始まった05年5月15日ロッテ戦で初勝利を挙げてから、積み上げた白星は通算27勝。並んでいたソフトバンク和田、元巨人杉内(現3軍投手コーチ)らレジェンド左腕たちから頭ひとつ抜け出したことは、大きな意味がある。

飽くなき探求心は、いつまでも尽きない。高卒3年目右腕の奥川とのキャッチボールを自ら志願。開幕前にようやく実現し「素晴らしいすごい球きてたんで、ああいうボールは投げられないけどすごく勉強になりました」とスピンの効いた球筋を堪能。「いろんな選手とキャッチボールしたり、ヒントを得たいと思っている」。プロ21年目を迎えても成長を模索する42歳だから、投げ勝つことができる。

通算180勝。リーグ&交流戦で首位を走るチームは8カード連続勝ち越しで、10日にも交流戦優勝を決める。「やはり野手が取ってくれた点数を1点でも少なく、試合終了までというのが、ピッチャー全員の思い。こういうゲームを取れるのはすごく大きい。また頑張って、こういうゲームつくれるようにしていきたい」。変わらぬ神髄を内に秘め、またマウンドに立ち続ける。【栗田成芳】

▼ヤクルトが5月14、15日広島戦の○△から8カード連続勝ち越し。92年7、8月にマークした球団最長記録に並んだ。これで今日10日にも4年ぶり2度目の交流戦Vが決まる。今日のV条件はヤクルトがソフトバンクに○、阪神がオリックスに△か●。ソフトバンクにも勝ち越せば09、11年のソフトバンクに次ぎ3度目、セ・リーグ球団で初の全カードに勝ち越す完全Vとなる。

▼ヤクルト石川が交流戦通算27勝目。26勝で並んでいた杉内俊哉、和田毅を抜き、単独トップに立った。

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