阪神が「日本生命セ・パ交流戦」でオリックスに逆転勝ちし、ついに開幕から続いた最下位を脱出した! 2-2の延長11回に代走の熊谷敬宥内野手(26)が二盗で捕手の悪送球を誘い、「ヘディング」で得点機を生んでそのまま一気に生還した。伏兵の神走塁で、関西ダービーに連勝した。ヤクルトに交流戦優勝を決められたが、リーグ戦は中日と入れ替わり、5位に浮上した。

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サッカー界のレジェンド、C・ロナウドばりの“ヘディング”だった。同点の延長11回、熊谷は左前打で出た佐藤輝の代走で出場。1死からロハスの打席、2ボールから3球目だ。二盗を試みた。捕手伏見の送球はやや右側にそれ、スライディングした熊谷が頭で“合わせた”。ボールが外野に転がる間に、快足を飛ばしヘッドスライディングでホームイン。虎の“ファンタジスタ”が「足と頭」でみせた。

「ボールが頭に当たってどこにいったのか分からなかったんですけど、三塁コーチャーの藤本コーチが腕を回していたんで、ホームに突っ込むだけだなと思いながら走りました」

ベンチでは勝利へと導いた「頭」をナインからたたかれる手荒い祝福を受けた。ヒーローインタビューを受けるのはプロ5年目で初めて。「心臓バクバクしてました。テル(佐藤輝)が必死に出てくれたので、なんとか仕事しようと。何も考えず、次の塁だけを狙って盗塁しました」。今季延長戦は7戦目にして初勝利。セ・リーグ初の開幕9連敗で始まった最下位を64試合目で脱出。伏兵が演出した。

熊谷は無類のサッカー好きだ。虎風荘入寮時にはポルトガル代表で、当時レアル・マドリードに所属していたC・ロナウドのユニホームを持ち込み、部屋に飾ったほど。「今でも好きです。あのレベルまでいってもストイックというか、地道に努力を重ねている。スポーツ選手として尊敬できる。外見もそうですけど、サッカーに向き合う姿勢というか、それは参考にできるし、お手本になる。それが好きな理由です」。興奮冷めやらぬ中、「クリロナ愛」を熱く語った。18年のW杯開催前には優勝国を「フランス」といい、予言を的中させたこともあった。

矢野監督は熊谷の神走塁を絶賛した。「年間の中で何回も起こり得るプレーじゃないけど、ああいう選手がヒーローになって勝ってくれるのはチームとしてはすごく大事な部分でもある」。熊谷はそのまま11回から三塁の守備に就き、2死一、三塁の大ピンチで宗のボテボテのゴロを華麗に捕り、一塁へのランニングスローで試合を締めた。背番号4が攻守で技を光らせ、絶体絶命の窮地を救った。【古財稜明】

○…島田が守備のミスを猛省した。初回に先頭福田の左翼への飛球を落とし、二塁まで進め、1死三塁から適時打で先制された。「将司に本当に申し訳ないことをしてしまった。本当にもう途中までのあの流れというのは、僕が作ってしまった流れだと思う」。取り返そうという思いでチーム唯一の猛打賞で踏ん張った。

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