阪神伊藤将司投手(26)が今季2度目の完投で、3勝目を挙げた。9回1死一塁でDeNA大田を直球で併殺に打ち取ると、笑顔でグラブをたたいて喜びをかみしめた。94球1失点の省エネ投球。今季3度目のお立ち台で「しびれました」と長坂のお決まりのセリフを拝借し、ファンの笑いを誘った。

リベンジの投球だった。4月6日、甲子園でのDeNA戦。完封まで残りアウト1つに迫ったが、牧に同点打を浴びた。チームは延長戦の末に敗戦。「やりかえしたいという気持ちがあります」と逆襲を誓ってのマウンド。牧に対し、初回は外角低めの変化球を投じて遊ゴロに仕留めるなど3打数無安打。「やっぱり牧はすごくいいバッターなんで、注意しながら投げられた」と会心の表情だった。

父の日の最高の前祝いになった。昨年は父正宏さん(52)に日本酒飲み比べセットを送るなど、家族への感謝の気持ちを忘れない。プロ3度目の完投勝利に「いいプレゼントになったと思います」と照れ笑いを見せた。

矢野監督は「将司らしい低めを丁寧につきながら、リュウ(梅野)といい呼吸を合わせて最後までいってくれた。本当にナイスピッチングでした」と称賛した。DeNA戦は通算8試合で4勝とキラーぶりを発揮した。6月の11勝で、先発投手に勝ちがついたのは、これで9度目。伊藤将が次戦の西純へ最高の形でバトンを渡した。【三宅ひとみ】

○…梅野が好リードで伊藤将の94球での1失点完投勝利を導いた。初回に2番大田にソロを浴びたが「動揺することはなかった。内容的にも完璧。将司さまさまなゲーム展開だった」と絶賛した。野手8人中7人右打者を並べたDeNA打線に対し「緩急をしっかり使えた。右打者の内側にミスすることなく意図した球を投げられた」と、恐れずに内角を突いたことを勝因に挙げた。

○…西純が19日のDeNA戦(甲子園)に先発する。同戦で登板するのはプロ3年目で初。「4番を打っている牧さんだったり、そういうチームの中心の選手をしっかり抑えられるように。データでも右バッターのほうが打たれているので、しっかりと注意するバッターを抑えたい」と意気込んだ。前回登板のソフトバンク戦では7回1失点の力投を見せ、好調をキープ。今季4勝目を狙う。

○…山本が今季2度目の猛打賞をマークした。2回は二塁へのゴロで全力疾走し内野安打に。8回には左翼前への打球で、判断よく二塁を陥れた。「1打席目はラッキーヒットだが、そのほかは自分の狙い球を絞っていけている。読みが当たった。頭と体がうまく一致している」と、打撃の好調さを実感していた。矢野監督も「今日もいい味を出してくれた」と目を細めた。

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