元西武でパドレス傘下3Aエルパソを自由契約になった秋山翔吾外野手(34)が6月30日、マツダスタジアムで広島入団会見を行った。決め手の1つは球団があと524本の日米2000安打に背中を押してくれたこと。背番号は9で3年総額5億円(出来高込み、推定)の契約とみられ、早ければ8日の敵地中日戦で1軍合流が見込まれる。

    ◇    ◇    ◇

グレーのスーツに白いネクタイ。20台以上のスチルカメラが放つ、輝かしいフラッシュに包まれて、秋山が会見場に現れた。球団が、そして広島ファンが待ち望んでいたヒットマンの新加入。期待が高鳴るスラッガーが入団した。

「アメリカでの挑戦が終わって、いろんな球団の方と話して、こうしてカープにお世話になることを決めた。この日を迎えられて、まずはホッとしています」

古巣西武やソフトバンクも参戦した争奪戦。入団の決め手の1つは交渉の席でもらった“記録”へのアシストだった。「鈴木(球団)本部長から2000本(安打)という言葉があった。チームを強くする責任のある人が、個人の記録を気にして言ってくれるのは、所属する選手にとっては幸せなことです」。残り524本で達成できる日米2000安打へ、球団を挙げて背中を押してくれたことが心を打った。この日の会見直前には初めて顔を合わせた松田球団オーナーから「(体が)ボロボロになっても2000本を打ってくれ」とハッパをかけられた。

会見後はマツダスタジアムで試合前練習にも参加した。ノックや打球捕のあと、打撃ケージにも入った。40スイングで柵越えは1本。芯でとらえ、広角にライナーを打ち分ける精度は健在だ。「久しぶりの練習は楽しかった。久しぶりにちゃんと練習メニューをした。今日は緊張やいろんな張りも気持ちの中であった。逆にブレーキをかけながらやっていた」。コイの秋山は順調に1日目を終えた。

1日もマツダスタジアムで練習を行い、週末は山口・由宇で2軍に合流する予定。本人の状態次第で2日のウエスタン・リーグ中日戦に出場し、実戦感覚を養う。12日の本拠地DeNA戦からの1軍合流が見込まれるが、より順調なら8日の中日戦(バンテリンドーム)で合流する可能性もある。日米1476の安打製造機が、急ピッチで調整を進めていく。【前山慎治】

 

◆秋山翔吾(あきやま・しょうご)1988年(昭63)4月16日生まれ。神奈川県出身。横浜創学館-八戸大を経て、10年ドラフト3位で西武入団。15年の216安打は今なおプロ野球シーズン最多記録。19年オフに海外FA権を行使してレッズへ移籍し、日本人初の同球団所属選手となった。NPBでは首位打者1回、最多安打4回のほか、ベストナイン4回、ゴールデングラブ賞6回。183センチ、86キロ。右投げ左打ち。