“守護神”不在のピンチを“伊勢大明神”が救った。DeNA伊勢大夢投手(24)が、イニングまたぎでプロ初セーブを挙げた。3連投中だったエスコバーがベンチを外れ、同じく3連投中だった守護神山崎も休養させる方針の中、1回1/3を無失点。昨季かなわなかったセーブを、屈辱を味わった東京ドームで挙げた。チームは2分けを挟み連勝。5位ながら、2位巨人に3ゲーム差とした。

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あの日、かなわなかった至福の時間をかみしめるように、伊勢はマウンドに集まったチームメートと勝利のタッチを重ねた。プロ3年目で念願の初セーブ。「昨日も試合を見ていて、セーブすることは難しいなと思った。セーブという言葉にとらわれず、8回、8回と思った」。重圧がかかる9回を、伊勢流の思考で乗り越えた。

名前が呼ばれたのは1点リードの8回2死一、二塁だった。一瞬、よぎったのは昨年10月3日の巨人戦。1点リードの9回に登板したが、同点とされ、セーブに失敗した。「去年のことを思い出して、緊張した」と振り返ったが、セットアッパーの時と同じ8回からの登板。「いつも通り、という風にすんなり入れた」と冷静さを取り戻した。

前夜、同点2ランを放ったポランコをフォークで一ゴロに封じ、ピンチを脱出。続く9回は、1死から八百板に安打を許したが、中山、重信を力でねじ伏せた。「去年投げさせてもらって、その経験が生きています。ヤスさん(山崎)や、三嶋さんのようにチームを背負って投げることを目標にしてきた中で、1歩を踏み出せた」と心に刻んだ。

今季は開幕から21試合連続無失点を記録。SNSを中心に“伊勢大明神”とも呼ばれる。3連投中だったエスコバーがベンチ外、守護神山崎も休養させる方針の中、伊勢は朝から覚悟を固めていた。前夜の試合はベンチ外で「申し訳ない思いがあったし、今日は絶対に抑えるという思いでした」と2戦連続で引き分けた仲間の思いも背負った。

三浦監督は、「腹をくくった」継投と明かした上で言った。「去年の伊勢とは違いますから。どんな場面でも結果を出してくれています」。全幅の信頼でイニングまたぎの最終回を託し、その思いに、伊勢がプロ初セーブでしっかりと応えた。【久保賢吾】

◆伊勢大夢(いせ・ひろむ)1998年(平10)3月7日、熊本県生まれ。九州学院では3年春夏に甲子園出場。明大ではリーグ戦通算22試合で4勝4敗、防御率2・89。3年夏に大学日本代表選出。19年ドラフト3位でDeNA入団。20年6月20日広島戦でプロ初登板。今季からセットアッパーとなり、開幕から21試合連続無失点。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2760万円。

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