阪神矢野燿大監督(53)が「借金完済ターン」を宣言した。コロナ禍でヤクルト戦は2戦連続の中止となり、球宴まで残り12試合。この日、チームは5位に転落し、借金5を抱える。それでも指揮官は9勝3敗以上を理想に掲げ、後半戦に弾みをつける考えだ。まずは甲子園に帰って、2・5差に迫る2位巨人との3連戦。G倒はノルマ達成に必須条件だ。

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コロナ禍で首位ヤクルトとの直線対決は2試合連続で中止となった。思わぬ形で3日間の空白が生まれたが、矢野監督は「(中止になる)確率は高いだろうなと。これは仕方がない」と、受け入れた。球宴まで残り12試合で、借金は5。完済による勝率5割ターンを実現するには、9勝3敗以上の成績が求められる。「それは理想。そこまでいけば、後半何とかおもしろくできる。すごく大事になる。そこを目指しながらやっていく」。指揮官は臆せずに高いハードルを自ら設定した。

借金完済は、大逆転優勝への布石となる。ヤクルト戦は、残り12試合。今回の中止により、9月以降、直接対決が6試合になることは確実だ。「もちろん、いいことは想像して。春先あれだけ苦しかったところから、みんなで何とかここまでこれたし、いい意味でひっくり返すことになったら、とんでもない歴史的な年になる」。奇跡を起こすためにも、球宴前のノルマ達成は必須条件だ。

12日からは9連戦に突入。まずは2位巨人を甲子園に迎える。2・5差に迫り、G3連倒なら、順位は変わる。今季は7勝5敗と勝ち越しており、その可能性は十分ある。このカードから6試合、毎年恒例の「ウル虎の夏」ユニホームで戦う。矢野監督は「一体感も含め、よりパワーをもらえたり、ひとつになれる」と、ファンの後押しを期待する。昨季の「ウル虎」では7月12日DeNA戦で9回2死から5連打で4点を奪いサヨナラ勝ちという劇的勝利もあった。「あれはオレも一生忘れることのない試合。毎試合劇的な試合はできないけど、みんなの思い出に残る試合をしたい」と意気込む。

首位ヤクルトに15・5ゲーム差をつけられているのは厳しい現実だ。それでも虎党は夢を信じる。G倒、そして5割ターン。猛虎が運命の「12番勝負」に臨む。【石橋隆雄】

〇…巨人、ソフトバンクに次ぐ3球団目の通算5500勝まで、あと6勝だ。矢野監督は「伝統ってやっぱり大事にしていきたい。ファンがつくってくれているものが多い。熱狂的っていうね。あとは甲子園は特別。高校野球の憧れでもありながら、天然芝で一体感がある。風が吹いて右翼に(打球が)飛ばないとかいろいろあるけど、タイガースファン、球場っていうものが作り上げてくれている」と重みを感じながら戦う。節目の数字を球宴までにクリアする。

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