ロッテ井口資仁監督(47)の監督通算300勝は、劇的に舞い込んだ。2点を追う9回、20年シーズンから18試合連続で無得点と苦しむ西武平良を攻め、最後は高部瑛斗外野手(24)が1死満塁での初球をサヨナラ打にした。4連勝に「最高です」とお立ち台で笑った高部は「思い切り行けて良かったです」と胸を張り、ファンを沸かせた。

チームで唯一全試合出場を続ける高部に、井口監督は昨年は5度、2軍再調整を通達した。2軍では圧倒的な数字を残しても、1軍で結果を出せない。「去年はどの球でも追いかけ回していた」と厳しく見ていた巧打者が、今年は得点力不足の打線を何度も活気づける。「前の荻野を、いい見本を見ながらやっているのがいいのかなと思います」と成長を喜ぶ。

2年連続2位。キャンプ前から「今年は若手も結果を出さなくちゃいけない年」とし、安田を開幕1軍から外す決断もした。選手たちと悩み、もがきながら、最大借金9から貯金2まで盛り返した。もちろん300勝は通過点。「何勝というよりチームの優勝が自分自身の目標なので、選手たち、ファンの皆さんと一緒につかみとれるように」。ロッテが乗ってきた。【金子真仁】

○…ロッテ岡大海外野手が値千金の同点打を放った。2点を追う9回1死満塁で代打で登場。西武平良に追い込まれながら「とにかく後ろの打者につなぐ気持ちで」と変化球をレフトへ転がし、走者2人を迎え入れた。昨年はサヨナラ本塁打を2発放ち“ヒロミナイト”と呼ばれたが、今季もサヨナラにつながる大仕事だった。

▼ロッテが2点差以上を逆転サヨナラ勝ちしたのは、20年8月20日ソフトバンク戦(2点差)以来。相手の西武平良は、過去の自責点3以上が19年8月2日オリックス戦(失点4、自責点4)20年7月19日楽天戦(失点3、自責点3)の2度しかなかった投手。セーブがつく条件下では自責点3以上が1度もなかった平良を攻略した。