巻き返しのキーマンは誰だ。日本ハムは29日の楽天戦で後半戦初戦を迎える。BIGBOSS初年度の前半戦は37勝55敗で最下位に沈んだ。日刊スポーツ評論家の建山義紀氏(46)と森本稀哲氏(41)が後半戦でのチーム浮上へ欠かせない投手、野手をそれぞれ占った。

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投手編 建山氏

後半戦に期待しているのはやはり伊藤になる。前半戦は8勝7敗で終えた。よく2年目のジンクスと言われる中、よくやっているとは思う。とはいえ、現状では12勝しても12敗する投手になるのではと危ぶんでいる。

もう1つクオリティーの高い投球をするためには、入り球と決め球のメリハリをつけること。それができればもっと被打率を下げられるし、奪三振率を上げられる。今の伊藤は、例えば投手有利なカウント1-2から相手打者にしっかり振られてしまう投球が散見される。

投球の基本として甘く入って最後は厳しくというパターンが、最も打者を抑える確率が高い。入りは多少甘くても大胆にストライクを取り、最後の決め球は注意力や慎重さを持ち合わせていきたい。伊藤は2年目ながら成熟した投手で、大舞台でも力を発揮できる。一方で追い込んだ後の投球で注意力や慎重さが欠けるため、もったいない出塁が多い。直球、スライダー、フォーク、どの球種も決め球に出来る能力がある。ただ、何を投げるかではなく、どう投げるかが大事。それを克服できれば後半戦は長いイニングを投げられるし、勝ちにもつながる。伊藤自身が貯金をつくることは、チームの貯金にもなってくる。

後半戦はリリーフ陣の整備も急務だ。現状、後ろを任せられるのは北山、石川直、堀となるが、その3人がしっかり1イニングを投げられる術を身につけないと、チームの勝利に結びついていかない。リリーフは経験が必要。今までみたいにいろいろな投手をシャッフルして起用するより、後半戦はある程度、固定したほうがいい。成功、失敗も含め、繰り返し経験をしないと投手はよくならない。だれがクローザーをやるにせよ、今季のうちに経験を積まないと来季に間に合わなくなる可能性がある。(日刊スポーツ評論家)