役者が戻った巨人が首位ヤクルトにカード3連勝し、5月20日(阪神戦)以来、79日ぶりの4連勝を飾った。新型コロナウイルス感染から1軍復帰したクローザー大勢投手(23)が、3点リードの9回を最速155キロで無失点に抑えた。大人気漫画「ONE PIECE」に奮い立たされたルーキーが、7月18日以来20日ぶりの登板で26セーブ目を挙げた。打線は、球団ワーストの1シーズン8本目の満塁本塁打を浴びた展開から逆転。合計84人が感染したコロナ禍から、徐々にチームの形が整ってきた。

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“守護神王”におれはなる! 大勢がホッと安心したように笑った。3点リードの9回1死一塁、ヤクルト塩見を154キロ直球で詰まらせて二直に仕留めた。一塁走者の丸山和が飛び出して試合終了。ヤクルトベンチがリクエストも、大城の隣でメインビジョンを見つめながら、球審のアウトコールを見届けた。

「多少の緊張はあり、打たれはしましたが、投げられることの喜びを感じました」。野球ができることへの感謝を、マウンドから全身で表現した。大城が「(球威は)全然変わらない」と証言した直球で押し、20日ぶりのマウンドでも貫禄の1回無失点で2カ月半ぶりの4連勝を締めた。

週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画「ONE PIECE」から生きざまを学ぶ。忘れられないシーンがある。主人公ルフィら一味が敵にやられて満身創痍(そうい)。そこに現れた刺客の能力で、剣士ゾロが仲間全員分のダメージを引き受けた。血だらけになりながら耐え切り、何が起きたのかを尋ねられても「何もなかった」と、男を貫いたシーンだ。

単行本第50巻。「あのシーン、最高にカッコいいです。何があっても『何もなかった』と言いたいですね」。打たれても、新型コロナで離脱を強いられても、楽しみにしていた球宴の出場辞退を余儀なくされても、言い訳はしない。「アスリートとして自己管理も徹底しなければと再認識しました。(球宴に)出場できなかった悔しさや、選んでくれた方に申し訳ない気持ちが強かった」と反省が口をついた。寮の自室ではシャドーピッチングや、自重トレーニングで体の状態を保った。球宴もテレビ観戦し、マウンドへの思いを募らせた。

チームは2カ月半ぶりの4連勝。満塁弾を食らっても、一丸で取り返し、最後は復活した守護神が締めくくった。「実戦感覚をしっかりと取り戻して、状態を上げていきたいです」。“ひとつなぎの大勝利”を求めて、大冒険は続く。【小早川宗一郎】

■大勢コロナアラカルト

◆7月18日 ヤクルト戦(神宮)で1回無失点で25セーブ目を記録

◆同19日 ファームで選手11人を含む17人が陽性判定を受け、接触の疑いがあったために特例2022対象選手として出場選手登録を抹消

◆同20日 ヤクルト戦(神宮)前に陽性判定を受ける

◆同25日 ファン投票で初選出されていたオールスターゲームの辞退を発表

◆8月2日 阪神戦(東京ドーム)で後半戦が再開。大勢は1軍練習に帯同して調整

◆同5日 ジャイアンツ球場の2軍練習に合流し、シート打撃に登板

◆同7日 出場選手登録

○…大城が、球団の捕手では阿部作戦兼ディフェンスチーフコーチ以来となる2年連続2ケタ本塁打を放った。2点を追う7回1死、ヤクルト梅野に追い込まれながらもスライダーを逆方向にはじき返す10号ソロ。「まずは去年の数字(11本)を超えられるように頑張ります」と引き締めた。

▽巨人シューメーカー(逆転の満塁本塁打を許すなど4回途中降板)「立ち上がりは調子が良かったけれど、4回の四死球からの1発で相手に点を与えてしまい、本当にふがいなかった」

▼巨人は満塁本塁打を打たれたのが今季8本目。満塁弾を打たれたシーズン最多本数は10年広島の12本があるが、巨人では04年の7本を上回り球団ワースト。

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