暑い夏には、やっぱり「うなぎ」や! 阪神が広島に逆転勝ちし、今季初の4カード連続勝ち越しで首位ヤクルトに8・5ゲーム差とした。

同点で迎えた8回に、島田海吏外野手(26)が左中間に決勝のタイムリー二塁打。2回にも投手強襲の適時内野安打を放っており、4戦連続マルチ安打の活躍だ。2番打者として奮闘する男が、うなぎの愛称でブレークの兆しだ。

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二塁に到達し、少しだけ頬を緩めた。ニョロニョロとうなぎのように手を振るポーズは、新助っ人ロドリゲスですら、会得済み。そんなベンチの仲間に応えるように、島田の白い歯がチラリと見えた。

「絶対かえしてやろうと。思い切り振りました」

5-5の同点で迎えた8回1死二塁で仕掛けた。2ボールからファーストストライクを空振り。それでも積極姿勢は崩さない。直後、森浦の144キロを詰まりながらも左中間へ適時二塁打。西武時代、「ウナギイヌ」の愛称で親しまれた秋山の前に落とした。5回までに両チーム2桁安打を決める打撃戦で、決勝点を釣り上げた。

愛称は「うなぎ」。漫画「天才バカボン」に登場する「ウナギイヌ」に似ていることから、そう呼ばれる。土用の丑(うし)の日には「ありがとうなぎ」とあしらわれたオリジナルグッズも発売されたほど。ファンにナインに定着中の愛称をアピールするかのように2安打2打点。4試合連続マルチ安打、8月は打率4割2分3厘と打ちまくる。

打席では、ヌルッとチャンスを逃さない。1番を任されていた6月上旬。どうすればチームを勢いづけることができるのか-。考え抜いた末の結論は、失敗を恐れずガンガン振っていくことだった。

「バッターって基本、受け身じゃないですか。投手に対して、初球から攻めていかないと」

そのためには、試合前日の夜が鍵。相手投手の動画に黙々と向き合う。「打席で意識するのはタイミングだけ。しっかり準備できるように」。2番に定着する今も変わらない。土曜の夜に仕込んだ鮮度抜群のネタが、実戦の舞台で生きた。

これで今季初の4カード連続勝ち越し。首位ヤクルトには8・5差。つかみたいものが、少しずつ見えてきた。「8月はうなぎの季節」と試合後の取材で答えた佐藤輝に呼応するように、島田も誓った。

「そういうことにしたいですよね。もっともっと打って走りたい。大山さんだったり、北條さんだったりがいない中で、どうカバーするか。そういう戦いができている。これからも1つになって戦っていきたい」

うなぎのぼりの夏は終わらない。【中野椋】

<島田海吏アラカルト>

◆生まれ 1996年(平8)2月6日、熊本県出身。

◆球歴 宇土東小4年から野球を始め、九州学院では1年秋からレギュラー。2年春に甲子園出場。上武大では全国大会に5度出場。3年春にリーグ戦首位打者。ベストナイン2土。3年夏と4年夏に大学日本代表にも選出。

◆うなぎグッズ オリジナルグッズは「ありがとうなぎうちわ」(税込み880円)など4種。島田が出塁し、佐藤輝の一打で生還した際、佐藤輝が「島田さんのおかげです。ありがとうなぎ」とコメントしたのがきっかけ。島田は「あいつのおかげでグッズ化できた。感謝」。

◆うなぎ好き 食べ物としてのうなぎも大好き。ホテルの食事会場でも必ず食べるほど。「夏バテ対策にはありですね」。

◆うなぎポーズ 6月下旬頃から、安打を打った際、塁上で腕をニョロニョロと動かすポーズが流行。助っ人たちにも浸透している。

◆サイズ 176センチ、71キロ。右投げ左打ち。

 

○…マツダの鬼だ! 梅野隆太郎捕手が今季2度目の猛打賞をマークした。2回は左前打で1死一、三塁にチャンスを広げ、ガンケルの先制打につなげた。これで今季マツダスタジアムでは9試合で打率4割6分7厘(30打数14安打)。前回の猛打賞も3月31日にこの場所で記録した。8月の打率も4割ジャスト。「状態も上がってきている。どんな形であれ出塁することを自分はやっていきたい。自分のフォームをしっかりやって、ボールにコンタクトできている」と打撃好調を維持する。

○…近本光司外野手が猛打賞で勝利に貢献した。初回1死一塁から投手強襲の安打を記録。3点ビハインドの5回は先頭で左前打で出塁し、ロドリゲスの2ランで生還。勝ち越した直後の8回1死二塁で右前打を放ち、貴重な追加点に貢献した。「試合勝ったんで、良かったなとは思います」と喜んだ。

 

▼阪神の4カード連続勝ち越しは今季初。21年4月30日広島戦から5月16日巨人戦にかけての5カード連続勝ち越し以来となった。

▼長期ロードは2年連続2カード連続勝ち越し発進となった。昨年は8月13日~15日広島戦●○○、同17日~19日DeNA戦○○●での2カード連続勝ち越しだった。

▼阪神は10カード連続負け越しなしとなった。10カード以上負け越しがないのは、08年5月3~5日の中日戦から6月11、12日西武戦までの14カード連続負け越しなし以来、14年ぶり。

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