日本ハムは楽天戦5連敗で、自力でのクライマックス・シリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。7回1死二、三塁から松本剛外野手(29)が2ランスクイズを敢行も、二塁走者のアリスメンディ・アルカンタラ内野手(30)が三塁手前で走力を緩めて同点止まり。新庄剛志監督(50)は顔をしかめて悔しがった。“BIGBOSSスペシャル”失敗で、今季7度目の同一カード3連敗となった。

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痛恨の“大技”失敗に、BIGBOSSは額に手をやり、顔をしかめて悔しがった。0-1の7回だ。1死二、三塁から、2番松本剛へのサインは「2ランスクイズ」。カウント2ボール1ストライクから、楽天の3番手、ブセニッツの前へうまく転がし、三走の中島がホームイン。鮮やかな同点スクイズも、本当は一気に2点を奪って逆転するための作戦だった。

新庄監督 なかなか勝てる相手じゃないし、外国人投手じゃなかったら2ランスクイズではなく、スクイズにしていた。弱いチームが強いチームに勝つためには、ああいう作戦をとって勝っていかないと。

試合後、映像を見返すと、二走のアルカンタラが三塁手前で走力を緩めていたという。「2ランスクイズのサインを出した時点で、二走は三走よりも早くスタートしないといけない。投手からは、見えないんだから。だから(サインの意味を)理解していなかったと思う」と嘆き「来年も日本でプレーしたかったら、そういうところもしっかりやってもらわないと」と、容赦なかった。

現在、チームのサインは「トータル37個くらい」と複雑化している。「来年、多分あと6個くらい増える。動かして、(相手を)迷わせて、ぐちゃぐちゃにして…というチームにしていきたい」。面白いアイデアを探して、現在、甲子園で開催中の全国高校野球選手権も、しっかりチェックしている。この日は、大阪桐蔭のバントエンドランにひかれたようで「あれは、いい作戦。トリプルプレーになったけど、成功したら作戦成功。大好き、ああいうの」。チームは自力CSの可能性が消滅も、悲観はしない。しっかり頭のメモ帳に刻んだ作戦を、下克上の糧にする。【中島宙恵】

○…新庄監督が失敗を逆手にとって、新たな作戦実行を予告した。4回、右前打の間に二塁走者の近藤が本塁を狙ったがアウト。捕手炭谷のタッチを避けて本塁へ戻ろうとしたがブロックに阻まれた。新庄監督はリクエストを要求も、コリジョンルールは適用されず判定は覆らなかった。「ボールが来る前はラインから外れていて、ボールがそれたから、ああいう形になってコリジョンが認められなかった。ルールを味方じゃないけど、そういう練習をしようかなと思いましたね」と振り返った。

○…新庄監督が「1番三塁」でスタメン出場した清宮を、19日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)でも三塁起用させることを示唆した。前夜同戦で三塁で1軍初出場。この日はフル出場も守備機会はなかった。「送球もいいし、意外とサードの動きのほうが合うんじゃないかと思って。明日もサードで、セーフティーバントの処理とか、どれくらいの動きが出来るか」と見極めていく。

○…伊藤が、またも2ケタ勝利に足踏みした。同点に追い付いた直後の8回、2四球から勝ち越しの犠飛を浴びて降板した。8回途中2失点(自責1)で8敗目。新人から2年連続の2ケタ勝利なら球団では34年ぶりだったが、2試合連続で10勝目には届かなかった。「先発投手からしたら、すごい屈辱的なマウンドの降り方。10勝の壁はデカいなと、あらためて思いました」と痛感した。

○…新型コロナウイルス陽性判定で離脱していた宇佐見が、復帰戦で2安打と奮起した。7回の先頭では、投前打で同点の起点をつくった。守っては先発伊藤をリードも競り負けた。「勝てなかったのが一番悔しい。ランナーがいる場面で打てなかったので」と悔やんだ。

▽日本ハム松本剛(7回に同点の投犠打)「2打席連続でチャンスで打てていなくて、意地でも走者をかえすという気持ちで打席に入った中、スクイズが出たので、しっかり遂行することが出来て良かったです。どんな場面で、どんなサインが出ても対応できる準備はできているので、これからも結果を出していけるようにしたい」