軟式野球は03年以来19年ぶりに道内で開催され、出場チーム最少の14人で臨んだ浦河第二・様似連合が、初戦で橿原八木(奈良)に延長8回タイブレークの末、2-3で惜敗した。

0-2の6回に奥山碧人(かいと)二塁手(3年)の右犠飛と、野沢慎太郎遊撃手(2年)の好走塁で同点。先発の天戸大晴投手(3年)も7回まで5安打2失点と粘ったが、連合チーム史上初の全国1勝には、あと1歩届かなかった。

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まさかの幕切れだった。延長8回タイブレーク2死満塁。天戸が投げた渾身(こんしん)の98球目は、右翼にふらふらっと上がった。和田志龍右翼手(3年)がグラブを構え、ボールを1度グラブにおさめた直後に落球。グラウンドに突っ伏し、顔をうずめた。仲間の声で立ち上がるも、涙がぼろぼろと、こぼれ落ちた。悔しい敗戦。それでも天戸は「仕方ないこと。全道1勝目標のチームがここまで来られた。みんなとこういう舞台に立てて楽しかった」と笑顔で振り返った。

初回から7者連続三振。さらに5回まで内野安打1本のみと序盤は苦戦した。奥山は「このままじゃいけないと思った」。打てない分は足を使い食らい付いた。相手失策、内野安打と盗塁で6回1死二、三塁のチャンスをつくり奥山の右犠飛で1点。2死二塁から二塁走者の野沢慎が大きなリードで捕手を警戒させ、けん制がそれる間に三塁を回って本塁を陥れ、同点に追いついた。泉歩監督(30)は「取り組んできた積極的な走塁をしっかり出してくれた。今までで一番いい試合」と選手をねぎらった。

主戦の天戸は道大会後、右肩に痛みを抱えたが、7回まで5安打2失点、7奪三振。1試合100球の規定があり、9回まで試合が続いた場合は、途中交代を余儀なくされる状況だったが「ちょっと痛かったけど、球数考えずに全力で投げた。120%出し切れた」と胸を張った。

様似は1、2年生が4人残るため秋も連合参戦できるが、天戸らの浦河第二は部員5人全員3年生のため一時休部。地元少年野球チームから来春入部希望の新入生がいるため部は存続される。天戸は「連合を組んででも頑張ってくれたら」。週末限定の合同練習でつかんだ全国切符。勝利はつかめなかったが、札幌円山に爽やかな風を吹かせた。【永野高輔】