復帰即決勝打! 広島菊池涼介内野手(32)が巨人戦の8回無死三塁で、代打で右前適時打を放ち、決勝点を挙げた。16日に新型コロナウイルスに感染し、戦列を離脱。前日26日の試合前練習で合流し、この日1軍に復帰。約2週間ぶりの実戦で、仕事を果たした。同じく離脱していた佐々岡真司監督(55)の“復帰戦”を白星で飾った。

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感染、発熱、離脱-。菊池涼は苦しい期間を経ても“らしさ”を失っていなかった。4-4の8回無死三塁。代打で14日以来の打席へ入った。約2週間ぶりの実戦。初球からスイングしていった。最後はカウント2-2から外角速球を右方向に転がし、一、二塁間を破った。決勝の三塁走者を呼び込む一打。「バットに当てたら何かが起こると思って打席に入った。(バットに)当たってくれた」。

この日に1軍昇格というぶっつけ本番だった。16日に発熱し、検査の結果新型コロナウイルス陽性が発覚。そこから隔離があり、前日26日から全体練習に合流した。同日の1軍昇格は見送られ、27日に出場選手登録。そして、8回に代打出場。それも追いつかれた直後の同点の場面。復帰打席としては緊張感も大きい。「テレビで10日間見ていて寂しかったし、プレーしたいと思った。まだ息が上がったりもするし、練習もそれほどできていない。ただ監督から起用されてる以上やるしかない」。離脱の歯がゆさをバットに乗せ、大きな1点を導いた。

佐々岡監督の“復帰戦”でもあった。16日に無症状ながら陽性が判明。この日戦列に戻り、タクトを取った。チームを離れていた10試合、3勝7敗と苦しんだ。指揮官は「迷惑をかけていたので勝てて良かった。(離脱中も)当然負ければ悔しい。イライラしながら(見ていた)」と振り返った。積もったフラストレーションを勝利で払った。

32歳の中堅は引き締まった表情でシーズン最終盤を見据えた。「しびれる試合が多い。(リーグは)だんご状態。気を抜くことは一切ない。みんな勝ちたいと思ってここに来ている」。負ければ巨人戦今季負け越し&自力CS消滅だった一戦。菊池涼がつないだ。チームは5位もCS圏まで2・5差。まだ23試合残っている。【前山慎治】

○…2戦連続1番の大盛が2戦連続複数安打で勝利に貢献した。2点差を追いつかれた8回。先頭で中堅頭上を襲う三塁打を放ち、代打菊池涼の右前打で決勝のホームを踏んだ。「追いつかれたので、先頭で出てやろうという気持ちで入りました。抜けた時点で(三塁を)狙ってました」。躍動感が打線に勢いをつけた。この日登録された菊池涼、小園に続き、28日には野間や上本ら外野の主力の復帰が見込まれる中、スタメン死守をアピールした。

○…先発遠藤は7回2失点と好投したが、中継ぎがリードを守れず、3カ月ぶりの4勝目はお預けとなった。失点は4回1死一塁から中田に浴びた2ランのみ。3度の3者凡退などで試合をつくった。「正直今日は何投げてもカウントを取れた。チームも勝てて無駄じゃなかった。しっかり変化球も操れた」。久々の白星は逃したが、手応えは十分だった。

▽広島西川(4回に3試合ぶり9号ソロ)「すぐに追いつけた形になったので、良かったと思います。ある程度、真っすぐを頭に入れながら浮いてきたスライダーを反応で打てた感じ」