エースが戻ってきた! 広島大瀬良大地投手(31)がDeNA戦(マツダスタジアム)で3週間ぶりに先発した。7回を投げ3度のピンチを切り抜け、6安打無失点の好投で7月1日巨人戦以来2カ月ぶりに8勝目を手にした。チームの連敗も「3」で止まり、巨人を抜いて4位に浮上。2年連続のDeNA戦シーズン勝ち越しも決まった。

   ◇   ◇   ◇

3週間前に東京ドームのマウンドで首をひねっていた大瀬良の姿はもうなかった。堂々とした投げっぷりでマウンドに仁王立ち。3回1死ではこの日最速148キロで大田を押し込み、二飛に打ち取るなど、力のある投球だった。7回無失点の好投。7月1日巨人戦以来2カ月ぶりに8勝目を手にした。「本当に迷惑ばかりかけてきた。ホッとした気持ち」。安堵(あんど)の表情で振り返った。

3週間の2軍調整。3度のブルペン入りなどで調子を上げたが、2軍戦への登板は1度もなかった。「調整登板もなく、(1軍に)上がってきて大丈夫かなと思って見ていた人もたくさんいると思う。結果で応えるしかなかった中での今日だった」。調整の成果を勝利で示し、納得させた。

今季から選手会長に就任したチームリーダーは、戦列を離れても若手の頼れる存在であり続けた。自身が抹消された翌週、自主トレをともにした2年目の大道がDeNA戦に先発した。4回3被本塁打3失点で敗れた右腕の映像を見て「DeNAの勢いもあったが、投球にも問題があったと思う。変化球で(ストライクを)入れていければ抑えられると思うから」と助言。苦しい再調整期間にも、若手に目を配り、良き兄貴分でいた。

そんな統率力のある投手が復活の8勝目。シーズン最終盤で、エースが1軍に戻った。佐々岡監督も「僕が監督になってエースとして信頼してきた投手。(7回無失点は)さすが。ふがいない投球が続いて、悔しさがあって今日の投球だったと思う」と称賛を重ねた。大瀬良は改めて、言葉を強めた。「全部落とせない。チームが勝つ投球をしたい」。戦列を離れた屈辱は、快投でしか取り返せない。【前山慎治】

○…2試合連続で4番に入った西川が決勝打を放ち、大瀬良に勝ちを付けた。6回2死一塁から、大貫の外角速球を左中間に運ぶ二塁打で、一塁走者矢野をかえした。「甲子園で散々やられたので。『なんとか長打を』と思って。矢野がよく走ってくれた」。8回1死では右翼線へ二塁打を放ち、複数安打。不振のマクブルームの代わりに入った4番で仕事を果たした。

○…不調で6番に落とされたマクブルームが8月23日ヤクルト戦以来9戦ぶりに適時打を放った。1点リードの8回2死三塁。DeNA3番手入江の内角152キロに詰まりながらも右前に落とした。「6番だからリラックスできているわけではない。どこで打とうと同じ気持ち。速球を待ってしっかりとらえるイメージだった」。17打席ぶり安打を適時打で飾った。

○…栗林は無死三塁のピンチを背負ったが、打球を前に飛ばさせず、27セーブ目を挙げた。2点リードの9回、先頭の宮崎に左中間三塁打を許した。だが、続く楠本を捕邪飛、オースティンを空振り三振、大和を捕邪飛に仕留め、試合を締めた。「(走者が)三塁にいて、開き直って打者勝負できたのが良かった。8回に点を取ってくれて2点になったのが大きかった」。5日ぶり登板も影響はなかった。

【関連記事】広島ニュース一覧