巨人が大勝利で連敗を阻止した。5発を含む23安打18得点でDeNAを圧倒。第91代4番の中田翔内野手(33)が、6回の18号2ランで07年6月以来、球団15年ぶりの「サイクル本塁打」を完成させた。2回に吉川が7号ソロ、4回にウォーカーが20号満塁弾、ポランコが20号3ランを放ち、舞台を整えた。長嶋茂雄終身名誉監督(86)が6日午後から都内病院に入院する中、1イニング9得点、今季初の2度の打者一巡の猛攻で打線が大奮起した。

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中田が内角球を豪快に仕留めた。6回無死二塁、DeNA三浦の145キロ直球をコンパクトに振り抜いた。急いで一塁へ走りだす必要はない。心地よい感触がバットから伝わってきた。「集中して打席に立てました。完璧に捉えられることができました」と確信の18号2ラン。飛距離125メートルで左中間席まで運んだ。

歴史的アーチにもなった。吉川のソロ、ウォーカー満塁弾、ポランコの3ランに続く1発だった。球団では07年6月9日の楽天戦以来、15年ぶり9度目の「サイクル本塁打」を4番の一振りでコンプリートした。 思うような打撃ができずに苦しんだ6月に2軍再調整を強いられた。同12日、電撃的にジャイアンツ球場を訪問した長嶋茂雄終身名誉監督から直接指導を受けた。「オッケー!」「よしっ!」と力強い掛け声を受けながら約40分間の濃密な時間を過ごした。

「(力は)7割ぐらいでいい」「バットを短く持って工夫しながら」というアドバイスから打撃の調子が上向きになった。マンツーマン特訓の直後は「僕からしたら雲の上のような存在。長嶋さんに教えてもらえた、関われたのは自分の野球人生で財産になっていくと思う」。1軍再昇格後は8月中旬から第91代4番を任され、打率2割9分、18本塁打まで上昇させた。

移籍直後も長嶋終身名誉監督から力強く背中を押してもらった。当時もジャイアンツ球場で直接指導を受け「近いうちに東京ドームで中田選手の特大ホームランが見られると思うよ」と心強いエールをもらった。第91代4番を堂々と全うし、病床の恩人に大勝を届けた。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(長嶋終身名誉監督について)「非常に元気だったんですね今年は。そういう意味では『いい方向に来られてるな』と思っていた矢先にこういう一報が入ったんですけれど。とにかく回復を願う、祈るというところです」

▼巨人が5本塁打を含む今季最多の23安打を放って快勝。本塁打の内訳は満塁1本、3ラン1本、2ラン2本、ソロ1本。1試合で4種類の本塁打を記録したのは18年9月16日DeNA戦の阪神以来で、巨人では07年6月9日楽天戦以来9度目。

▼ウォーカー、ポランコがそろって今季20号。巨人の外国人2人がシーズン20発は04年のローズ45本、ペタジーニ29本以来2度目。来日1年目コンビが記録したのは、17年オリックス(ロメロ26本、マレーロ20本)以来で巨人では初めて。

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