球界現役最年長の中日福留孝介外野手(45)が今季限りで現役引退することが8日、分かった。

27年前の秋、福留のぶれない心を「鉄の意志」と書き続けた。なのに、18歳の意志の強さを甘く見ていた。ドラフトを前に、意中球団以外なら日本生命入りする、という進路を聞いていたのに、結局はプロ入りするのでは、と思っていた。野球に取り組む姿勢を取材すればするほど、プロ以外の選択はないと感じた。

だが、予想は裏切られた。鉄の意志はみじんも揺らがず、福留は日本生命に入社し3年後に中日を逆指名。プロを熱望する気持ちにどう折り合いをつけたのか、不思議だった。

「1つは世間の評価に見合う選手になる時間がほしかったのではないか。もう1つは、彼は自分の決めた進路を忠実に歩いてきた。ドラフトでもそれを守りたかったのではないか」。後にそう教えてくれたのは中日中田スカウト部長(当時)。ドラフトの超目玉と言われるうちに、周囲の期待は膨れ上がった。それに応えるには今の自分では力不足と判断し、社会人で自分を鍛えようとした、と聞いた。

「自分の決めたことなら責任が取れますから」と福留も話していた。目に余る態度を見せたとき、厳しさと愛情を持って叱ってくれる指導者、先輩が日本生命にはいた。そんな環境から巣立ったことも、長寿の一流選手になれた要因だったと思う。【堀まどか】