ソフトバンクが優勝を争う3位西武を3連倒して連勝を4に伸ばし、2位チーム(オリックス)との差を後半戦最大の2ゲームに広げた。初回に4者連続適時打を含む打者10人の猛攻で一挙5得点。牧原大成内野手(29)が12年目で自己最多タイの4安打を放ち、打線をけん引した。15日の敵地楽天戦に勝てば、優勝マジック10か11が点灯し、引き分けても11が点灯する。大混戦のパ・リーグで、藤本ホークスが抜け出した。

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試合開始約20分で、ソフトバンクが試合の行方を決定づけた。西武先発隅田を攻め、1回に打者10人の猛攻で6安打5得点。デスパイネ、牧原大、正木、中村晃が4者連続タイムリーを奏でた。ペイペイドームの鷹党のボルテージはいきなり最高潮だ。藤本博史監督(58)も「初回の攻撃は本当に見事でした。今年一番のつながりだった」と、べた褒めだった。

中でも牧原大は4打数4安打の大当たり。2点を先制した1回、なお1死二、三塁で二塁への適時内野安打。3点目をもたらし「いい流れだったので、ヒットになってくれたと思います」とほおをゆるめた。その後も全打席安打を放ち、18年8月22日の日本ハム戦以来4年ぶり、自己最多タイの4安打で快勝に貢献した。「必死です。その結果です」。前日13日も3安打で2試合連続の猛打賞。今季は内外野4つのポジションを守るユーティリティーが、西武との直接対決で存在感を発揮した。

8月22日に新型コロナ陽性を受け、今月6日に戦列復帰。離脱の間に増田、野村大、正木、谷川原ら「筑後ホークス」の若鷹たちが躍動した。「素直にうれしかった」と言うが、復帰後は心の中で燃えていた。「僕ら(主力)の記事で、ファンの方たちの『筑後ホークスの方が良かったんじゃないのか?』っていう(コメント)を見たりした。それで火がつきましたね」。主力のプライドが煮えたぎった。そのマインドが7試合連続安打、月間打率4割につながっている。

西武と0ゲーム差で始まった首位攻防3連戦で3連倒。チームの連勝も4に伸ばし、2位チームに後半戦最大の2差をつけた。これで15日の楽天戦に勝てば、優勝マジック11か10が点灯し、引き分けても同11が点灯する。藤本監督は「マジックは出ても消えるもん」とサラリだったが、一気にカウントダウンモード。大混戦のパ・リーグを抜け出し、2年ぶりのリーグ優勝へ突っ走る。【只松憲】

◆牧原大成(まきはら・たいせい) 1992年(平4)10月15日生まれ、福岡県出身。熊本・城北から10年育成ドラフト5位でソフトバンク入団。12年6月に支配下へ昇格した。内外野を守ることのできる貴重なユーティリティープレーヤー。今季の推定年俸は4500万円。172センチ、73キロ。右投げ左打ち。

◆ソフトバンクのM点灯 ソフトバンクは15日の楽天戦に○か△で優勝へのマジックナンバー(M)が点灯する。○の場合はオリックスが日本ハム戦に○でM11、△か●でM10が出る。△の場合はオリックスの結果に関係なくM11。

○…デスパイネが初回猛攻の先陣を切った。0-0の1回1死満塁で、隅田のフォークを左中間へ。先制決勝の2点適時二塁打となった。「みんながつないだ先制のチャンスを、絶対に生かそうと打席に入ったよ。先制点を取ることができてよかったよ」と腕を組んだ。続く牧原大、正木、中村晃の4者連続タイムリーを呼び込んだ。

▽ソフトバンク正木(初回に4点目の左前タイムリー)「いい流れの中での打席だったので、力むことなく冷静に打席に入ることができました。追加点を取る1本を打つことができてよかったです」

▽ソフトバンク中村晃(初回に5点目の中前適時打)「真っすぐを捉えることができました。思い切っていくことができた結果だと思います」

▽ソフトバンク柳町(8回2死二塁の代打で中前適時打)「なかなか追加点が取れない中で回ってきた打席だったので、絶対にランナーをかえそうと思いました。終盤に大事な、大きい追加点を取ることができてよかったです」

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