恩返しの白星を-。阪神藤浪晋太郎投手(28)は驚きを隠せなかった。今季限りでの現役引退が発表されたオリックス能見について「目標にしていた先輩だったので、まだ信じられないという気持ちが強い」と語った。「自分が入団した時のタイガースのエースといえば能見さんでしたし、当然、自分の中でのエース像は能見さんでした。そういう方が引退する時がとうとう来てしまったかというのが率直な思いです」とも言った。

プロ1年目の13年からともに先発ローテを支えた。「能見さんは多くを語る人ではないですし、こうしろ、ああしろと言われたことも特にないですね」。黙々と野球に取り組む姿を見て学んできた。

「練習も含めて、姿勢や振る舞いでみんなを引っ張っていた方でした。自分もそんな能見さんの背中を見て育った選手の1人ですし、入団して初めてキャンプで黙々とメニューをこなす姿が印象に残っています」

20年11月11日、能見の阪神ラストゲームとなったDeNA戦(甲子園)に先発し、5回無失点。その後、能見が最終回を締め1-0勝利を完結させた。タテジマでともに過ごした8年間は大きな財産だ。

自身は18日ヤクルト戦(甲子園)で今季ラスト先発登板の見込み。前回9日のDeNA戦は3回まで1安打も、4回以降につかまり7失点で5回途中降板となった。仕切り直しの一戦へ「真っすぐは武器ではあるんですけど一辺倒にならないように」とポイントを挙げ、「粘りつつやっていければ」と気合を入れた。

CSへ向けてはブルペン待機の可能性も考えられ、あらためて存在感を示したいところ。何より、ユニホームを脱ぐ先輩へ感謝を体現するマウンドにする。【中野椋】

▽阪神西勇(阪神移籍の19年から2年間ともにプレー)「入団してから近くで話してくれることが多かった。糸井さんと違った目線、ベテランならではのアドバイスだったり、調整方法を。ランニングの方法、感覚の調整などをすごく細やかに教えてくれた。本当に勉強になった。夏の調整法は、言われたことは実践している」

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