ソフトバンクが快勝で、優勝へのマジックを「1」に減らした。先制V打を放った柳田悠岐外野手(33)は守備でも魅せた。フェンスで後頭部を強打しながら、相手の本塁打を阻止するプレーで途中交代。主将の気迫あふれるプレーが、チームを勢いづけた。オリックスが勝ったため、この日の胴上げは持ち越しとなったが、10月1日西武戦(ベルーナドーム)に勝つか、引き分けで優勝が決まる。

   ◇   ◇

楽天を破って優勝マジックを「1」に減らしたソフトバンクは、場内に放映された、まだ試合の続いているオリックス-ロッテ戦の行方を見つめた。結果はオリックスのサヨナラ勝ちで、この日の胴上げはお預け。藤本監督は「元々、オリックスが勝つと思ってこっちはやってるのでね。待って見るのもね。面白いところがあるけど」と苦笑いしながら、ゴールへの着実な1歩前進を喜んだ。

主将の気迫あふれるプレーがあった。4回に先制打を放っていた柳田はその裏、1死走者なしで、楽天渡辺佳が放った右翼後方への大きな飛球を追った。柵を越えるかどうかという打球にグラブを目いっぱい伸ばし、ボールに触れた。だが、フェンスに後ろから倒れ込み、後頭部を強打。グラブからはボールがこぼれた。

本塁打を阻止する形になり、記録は三塁打。しかし、柳田はしばらく起き上がることができず。トレーナーらが駆けつけ、担架の準備もされたが、なんとか立ち上がり自身の足で歩きはじめた。大きな拍手を送られながら、ベンチに下がり交代した。

柳田は仙台市内の病院でCT、血液検査を受け、脳振とうの疑いはなし。むち打ちのような症状と診断された。藤本監督は「ちょっと明日無理かもわからないですね。骨とかはどこも異常ないんでね。ちょっと明日はしんどいかなと思いますね」と話し、大事には至っていない模様。優勝のかかった一戦で欠場の可能性はあるが、長期離脱などの不安は大きくなさそうだ。

柳田のガッツに鼓舞され、チームは奮起。6回にデスパイネがダメ押しのソロ本塁打を放ち「ギータが交代した分までカバーしようと気合が入った」と力を込めた。優勝まで残り1勝。藤本監督は「勝ってみんなで喜びたいんで。1試合残してどうのこうのじゃなくて、明日また全員で戦って、決める」と言い切った。【山本大地】

 

▼通算150勝=和田(ソフトバンク) 30日の楽天25回戦(楽天生命)で今季7勝目を挙げて達成。プロ野球50人目。初勝利は03年4月9日の西武2回戦(北九州)。和田は登板305試合目、41歳7カ月で到達。年齢では94年佐藤義(オリックス)の39歳7カ月を抜く最年長記録だが、登板試合数は4番目のスピード。上位3人は1リーグ時代に入団しており、2リーグ制後に入団した投手では最速。「最年長」で「最速」の珍しい150勝だ。また、和田は救援勝利がなく、プロ1勝目からすべて先発勝利で150勝到達は98年槙原(巨人)以来2人目。

▽ソフトバンク・モイネロ(9回をきっちり3人で抑え)「チームが勝つことができてよかった。チームのために全力で投げるだけ。明日も自分の仕事をしたい」

○…今宮がマルチ安打で気を吐いた。3点を先制した4回には右前打でチャンスメーク。9回には遊撃内野安打を放った。「とにかく勝つことができてよかったです。明日勝って、リーグ制覇できるようにチーム一丸となって戦っていきたい」。自身も打率2割9分9厘とし、初の3割達成へ向け大事な残り2試合となる。選手会長として攻守での活躍を誓った。

▽ソフトバンク中村晃(4回1死一、三塁から2点目となる左前適時打)「打ったのはチェンジアップです。ギーさん(柳田)が先制のタイムリーを放って、何とか続いていこうと打席に入りました。先制のいい流れに乗って、タイムリーを打つことができて良かったです」

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧