村神様の姿がメジャーの同世代の大砲と重なる-。今年のMLBオールスターのホームランダービー王者で首位打者歴もあるパドレスのフアン・ソト外野手(23)。村上と同世代で同じ左打ちという共通項以上に、2人を知る野球人は大砲同士をシンクロさせる。連載の最終回は、ソトと同郷でヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(30)と、NPBでもプレーし、ソトと同僚でパドレスのニック・マルティネス投手(32)が「村上・ソト比較論」を展開した。

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4番村上の打棒をネクスト・バッタースボックスで見守ってきた。5番を主に担ったサンタナは村上の打撃メカニズムに感嘆する。 サンタナ まず、ムネ(村上)のスイングを見ていて、体の全てが連動しているのが素晴らしい。まったく崩されない。力強いスイングが常に出来るとなったらパワーとか関係なくボールにミートして飛ぶ。「連動している」、「崩されない」のが1番すごいね。

メジャーでシーズン30発の実績があるサンタナは、同じドミニカ共和国出身のソトと以前から一緒に自主トレを行い、その成長を見守ってきた。村上とソトは同じ左打ちで、同世代、身長も同じ188センチ。打撃でも共通点があるという。

サンタナ ムネは選球眼が優れていて自分の振りたい球しか振らない。若いけど大ベテラン並みの選球眼を持っている。ソトも一番優れている部分が選球眼。選球眼がいいとなれば、三振する率も数も減るし、強い打球も増えて、率も残しやすい。長打も出やすい。

村上は141試合で118四球、ソトは152試合で135四球。文字通りの「好球必打」が好成績につながっていると分析する。最後にもう1つの共通点を挙げた。

サンタナ もう1つは、2人とも若いけど打席に立ったら、22、23歳とかにまったく感じないところだね。まさに大ベテランみたいな風格を出しているところは、似ているかな(笑い)。

日米の若き強打者に共通する「選球眼」+「風格」が、3冠の一因となった。【鈴木正章】

9月上旬、早々と50本塁打をクリアしたことを伝え聞いたマルティネスは、日本語で「すごいねえ」と驚きを隠せなかった。昨季まで日本ハム、ソフトバンクで4年間プレーした右腕も高い関心を示す。

「彼がルーキーの時から見ていたけど、その時点でベテランのような雰囲気を持っていたね。すごく強靱(きょうじん)な若者。とても印象的なアプローチをしていたし、驚くべきパワーもある。それで22歳だって?」

米国代表として出場した東京五輪の決勝で先発したマルティネスは外角低めのチェンジアップを、中堅左への先制ソロとされた。決して失投ではない。事前にスカウティングリポートでチェックしていたが、あっさりと決め球を仕留められた。

「ソトとは多くの共通点があると思う。2人とも年齢とは無関係に成熟したところがある。打撃のメカニックは違うだろうが、村上はパワーもあるし、打率も残せる。しかも、ストライクゾーンへの学習能力も高い。そのあたりがソトと類似したところだと思う。村上はナチュラルな左打者。逆方向や全方向に打つ賢さを持っているし、ソトも同じ。村上は間違いなく特別な選手。もしも将来、村上とソトが一緒にプレーするような驚くべきことになれば、ぜひパドレスで実現してほしいね」

今季の球宴の本塁打競争を制したソトと比較するほど、村上の技量を認めていた。【MLB担当=四竈衛】