ロッテはなぜ監督を交代したのか。退任する河合オーナー代行兼球団社長は吉井新監督に対し「これまでのビジョンを引き継いで常勝軍団を作ってくれる」と期待する。イズム継承ならば、なぜ“井口留任”の選択肢が消えたのか。

これまでの首脳陣は井口前監督いわく「僕の野球観と合うコーチに来てもらっている」メンバーだった。一方で、井口体制は5年になり、役割の線引きが不明瞭になった。コーチ数が増え、戦略コーチがベンチ入りできない試合もあった。ベンチ内には、戦略構築→決定→指示の道筋にスムーズさを欠いたと指摘する声もある。今回退団の鳥越氏はヘッドコーチを3年務めた後、昨季から若手育成で2軍監督に配置転換。鳥越氏がいなくなった1軍ベンチから適度な緊張感が消えたとの証言も少なくない。

2025年、常勝軍団に-。今回の首脳陣変更は、残り3年となったこの目標達成期限へ向け、課題が露呈したベンチワークを刷新した印象が強い。吉井新監督は球団では今世紀初の投手出身監督。チームの柱と見込む佐々木朗の「5カ年育成計画」策定に携わった人物で、優勝に欠かせない長いシーズンでの投手陣の登板管理にも理論がある。

球団の最終目標は、いかに永続的に強くするか。19年の現役引退時から未来の監督候補と目される福浦打撃コーチが、来季はヘッドコーチを兼務する。いよいよ次は、の段階に来た。違和感が生まれたベンチをいかに再構築するか。新監督はもちろん、同僚から「背中で引っ張るタイプ」と称される新ヘッドの手腕も注目される。【ロッテ担当 金子真仁】

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