走り終えたロッテ佐々木朗希投手(20)が、青い外野ラバーフェンスにもたれ掛かる。背中の汗で、青が群青色に変わる。ZOZOマリンのポール間往復走。「チーム全体としては、来シーズンに向けた基礎的な体力づくりだったりをやっているので」。投手陣7人で9往復した。

笑顔は序盤で消える。65秒、63秒、65秒、66秒、68秒…。1往復ごとに2分間のインターバルを経て、再び出発する。5本を終えると5分間の小休憩。6本目は76秒だった。「投げる体力とは別だと思うので」としつつ「シーズン後半にあまりトレーニングできていない中で、シーズンが終わってからも空いた中で、少しずつそういうところを戻していく段階のトレーニングだと思います」と話した。1度休み、落として、11月に控える侍ジャパン強化試合へと徐々に上げていく段階にある。

2月、実戦初球がいきなりプロ入り後最速の161キロを記録した。3月末、自身のシーズン開幕登板でも自己最速を更新する164キロを投げた。4月には13者連続奪三振を含んでの完全試合を達成し、その後も160キロ台を連発。「開幕前に立てた目標より、もっと上にいけると思えるようないいスタートだったので」と自身で振り返るほどだった。

しかし前半戦最後に右手指のマメをつぶすと、しばし登板間隔が空き、出力も落ちた印象だった。

「シンプルに体力的にもきつい部分はあったので。その中でもどっちかと言ったら、春先が良かったというふうな感じかなと思っているので。いい形に少しでも近い状態で後半戦を回れたら、もっといい成績になると思うので、高い出力を維持できるようにしたいなと思っています」

大逆転CSへ導けず、チームは5位に終わった。監督も代わる。「5位に終わってしまって、本当に悔しい思いをしたので」。9勝4敗、防御率2・02。先発ローテーション1年目としては十分な数字にも映るが「最後はそういうところをクリアできなかったので。数字的なものだったり、立場だったりとか」。立場、と言った。「いろいろな数字でチームの中心になれるように、と思っています」と自覚も十分だ。

体力強化にマメ対策、フィールディング。見えた課題にしっかり向き合うオフにする。もちろん、努力は見えないところでも続ける。「もっとタフな体作りを今はしています」。前半戦だけで160キロ台が324球。前人未到をやってのけたような高出力の維持へ、少々長くなったオフシーズンを有効活用する。

ポール間の往復走は、数をこなすたび誰も言葉が出ず、走り終えると座り込む。佐々木朗も6本目76秒の後は77秒、80秒と、だんだん苦しくなっていく。汗が染める群青もどんどん大きくなる。ラスト1往復、9本目。最後に絞り出した。78秒。前を走る先輩二木に食らいつき、思いを姿勢で示した。【金子真仁】

○…ロッテ佐々木朗はまずは強化試合でのアピールを目指す。「(シーズン終了から)1カ月以上空いた中での試合なので、ケガないようにしなきゃいけないので。集中力を切らさないように」と調整を進め、今週末以降にブルペン投球も再開する見込みだ。WBC代表入りすれば、テレビ観戦することもあったエンゼルス大谷らメジャー組とチームメートになる可能性も。「日本にいるメンバーは試合で近くで見たりとかあるんですけど、メジャーの方々は見たことがないので。近くで見たいという気持ちもすごくありますし、もし一緒にチームとして戦うことができたらすごくいい経験になると思うので」と夢の舞台を待ち望んでいた。

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