阪神OBの赤星憲広氏(46)が4日、臨時コーチとして沖縄・宜野座での1軍キャンプで直接指導を行った。

ベースランニングを行った午前は、助っ人も含めた野手全員に一塁を回った後の「オーバーラン」への高い意識を植え付けた。

「僕が現役の時にセンターを守っていて、当時の落合監督のドラゴンズはみんなオーバーランがでかくて『ワンヒットで二塁に行ってやろう』と隙を突こうとする走塁をしていたのがすごく嫌だった」

徹底された走塁意識でセ王者に君臨していたライバルを引き合いに、その重要性を説いた。

「練習では1日に2本くらいしか走らないんだから、その2本をどうするか」

打った打球をイメージし、隙あらば二塁を狙う-。そんな積極的な姿勢を求めた。

その後、近本、中野、島田、植田、小幡の左打ち5人を招集すると打席でトスを打ち返し、一塁へダッシュ。赤星氏は「近本と中野は内野安打が比較的、少ない。監督の案です」と内野安打増への取り組みだと明かした。

内野安打を狙い三遊間に打球を転がした際のタイムと、バットを振り切り右翼方向へ打球を飛ばした際のタイムを比較。「内野安打狙い」のフォームの方が0・3から0・4秒程度、一塁到達タイムが速くなったという。これには「こんなに違うんだ」とナインも驚きを隠せなかった。

「彼らは打率3割、もしくは3割3分打つ、となった時に、そういう技術…。近本、中野に関しては、もうワンランク、ツーランク上に行ってもらわなければいけない選手」。引き出しの1つにすることを願った。

午後からは近本、中野、島田、植田、熊谷を一塁ベース付近に招集。岡田監督が熱視線を送る中、帰塁とスタート練習を約50分繰り返した。

とりわけ「足からの帰塁」にはこだわりを持ち「ケガ防止にもつながる。送球ミスがあれば次の塁を狙うことができる」とメリットを指摘。何度も何度も最短距離で一塁へ帰塁する方法も模索し続けた。

12年以来、11年ぶりとなる阪神での臨時コーチ1日目を終えた赤星氏は「感慨深いのは確かにありました」。指導は残り2日間あり「自分のできることをやりたい」と力を込めた。

◆赤星憲広(あかほし・のりひろ)1976年(昭51)4月10日生まれ、愛知県出身。大府-亜大-JR東日本を経て、00年ドラフト4位で阪神入団。1年目の01年に39盗塁でタイトルを獲得し、新人王を受賞。以後5年連続盗塁王となり、03、05年の優勝に貢献した。09年限りで引退。通算1127試合、1276安打、215打点、381盗塁(球団最多、プロ野球9位)、打率2割9分5厘。現役時は170センチ、66キロ。右投げ左打ち。

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