ソフトバンク藤本博史監督(59)が、宮崎春季キャンプ第2クール2日目の8日、チームに「カミナリ」を落とした。昨年はリーグ制覇目前でオリックスに競り負け「1点を取るプレー」の重要性を説いていた。だが、今キャンプ初のチーム打撃でミスが連発。特に、エンドランの指示で右中間本塁打を放ったリチャード内野手(23)には「意識も見えてこない」と厳しい言葉で改善を促した。

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本塁打を打ったというのに、リチャードが叱られて泣いた。

「できて当たり前やからね。マシンが相手やから」と藤本監督が振り返ったチーム打撃。リチャードは走者一塁エンドラン、右方向へのゴロを打てと指示された状況で、初球をなぜか見逃し。2球目をしっかり捉えた打球はぐんぐん伸び、右中間スタンドに届いた。ファンは拍手を送ったが、本人は“罰走”。一塁ベースを駆け抜け、右翼ポールまでダッシュした。

その後、右翼線へ長打性のライナーを放つも、やり直し。次も右中間へのライナーで、再度打ちなおし。ようやく指示通りの一、二塁間へのゴロが出て、ミッションクリアとなった。

昨年はオリックスと勝率で並びながら優勝を逃し、クライマックスシリーズでも完敗。藤本監督は「チームバッティングで確率が悪かった。バントにしてもエンドランにしても右打ちにしても。その辺のプレーが正確にできたら、オリックスとの差は縮まってくる」と課題を掲げてきた。それだけに、この日の内容には「失敗が多かったですね。チームの方針やからね。もう1回徹底してやっていきたい」と厳しかった。

練習後、悔しそうに涙を流していたリチャードに、藤本監督は「普段あの打撃をしてくれたらいいんですけどね。エンドランの意識がない。エンドランはエンドラン。チーム打撃なんやから、転がせと言われたら転がせと。そういう意識も見えてこないからね。そこはリチャードのこれからの課題ですよね」と苦言を呈した。「泥くさい1点を取る野球」へ。チームの課題が垣間見えた。【山本大地】

○…武田が復活への1歩を踏み出した。昨年8月27日の日本ハム戦で右肘の張りを訴え、リハビリに努めていた右腕はB組でフリー打撃に登板。46球を投げて安打性8本の結果だった。「打者の反応を見たいと思って投げていた。まずまずでした」。先発候補の1人で、キャンプ中にA組昇格の可能性もある。「(キャンプ)後半でしっかり(競争に)入って行けたら」と意気込んだ。

○…2年目の風間がB組で打撃投手を務め、圧巻の投球を披露した。打者4人に対し、すべて直球で空振り11個。前に飛んだ打球は2本と圧倒した。「空振りも取れて状態もいい。まだまだコントロールとか課題はある。キレのいい球を磨いていきたい。まだ(内容は)65点くらい」。一昨年のドラフト1位右腕は王会長も見守る中で、堂々の投げっぷり。「今年は1年間投げきることが目標。(キャンプも)A組に行くという気持ちで頑張っていきたい」と語った。

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