日本ハム矢沢宏太投手(22)が、プロ初安打を放った。

「1番右翼」で公式戦初出場。記念すべき安打は第2打席に楽天の先発瀧中の変化球を捉え、中前に運んだ。投打の二刀流を目指すドラ1ルーキーがまずはバットで新庄監督の期待に応えた。“矢沢流”で結果を出し続け、新人の顔になるつもりだ。

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開幕2戦目で矢沢が初めて公式戦の舞台を踏んだ。矢沢永吉の登場曲が新球場エスコンフィールドに響き渡る中、打席に向かった。第1打席は三邪飛に倒れたが、2打席目で楽天の先発瀧中のスローカーブをすくい上げるように合わせて中前まで運んだ。体勢を崩しながらもしぶとく安打にして見せた。「僕のヒットは変な形が多いので。いい反応ができたかなと思います」と振り返った。エスコンフィールドに詰め掛けたファンに向けた名刺代わりの安打だった。「下半身で粘りながらスイングをしていこうと今やっている。(自分の)特徴が出たスイングだった」。

数字として結果は残したが悔しさも感じている。7回1死三塁の勝ち越しのチャンスでは初打点のチャンスだっただけに「絶対1本打ってやろうと思っていた」。だが、楽天左腕の弓削がマウンドに上がったこともあり、代打を送られ、今川が代打起用に応えて左前適時打を放った。矢沢は「大一番で代打を送られてしまうのは悔しい。左ピッチャーでも代打を送られないような存在になりたい」。悔しさを糧にチャンスを任される打者に成長する思いを強くした。

公式戦初のスタメン入りは、前日のチーム練習中に新庄監督から告げられた。「『明日1番ライトでいくよ』と言ってもらいました」。サヨナラ勝ちの歓喜に沸く輪にも加わり、プロでの勝利の味に酔いしれた。「大学のリーグ戦で優勝した時みたいな感じ。1勝するのがこんなにうれしいんだと思った」。初安打の記念ボールは母香さんに渡すつもりだ。「家族が見に来ているので、あげたいと思います」。投打の二刀流を追い求めるドラ1ルーキーが、まずは野手として“成り上がり”の第1歩を踏み出した。【石井翔太】