ロッテ種市篤暉投手(24)が6回1安打無失点で、20年7月25日以来の勝利を挙げた。20年9月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、3シーズンぶりの復活白星になった。

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種市の恩師、八戸工大一(青森)長谷川菊雄監督(46)は、988日ぶりの勝利投手となったことを宮城県での練習試合の帰路で知った。「去年の年末に電話をくれた時には苦しいこともあったことも話していた。でも一番は、両親とかチーム関係者、リハビリやトレーニングで支えてくれた方々への感謝の言葉が印象的。今まで以上に感謝の気持ちを大切にしていた。本当にそういう心の面で成長したなあと思っていました」。

手術後は電話やメールで苦しい胸中を明かしたこともあったと言う。「しんどかったとは思いますよ。でも、(WBC前の)侍ジャパンの試合に行く前に『ダルビッシュさんのサインをもらってきます』って、ふざけた冗談も言えるようになっていた。もう大丈夫だなって、うれしくなりました」。今季の活躍はその時に確信した。

母校の生徒たちには毎年、硬式球を何ダースも寄贈してくれている。「この1勝は目標にしている生徒たちの大きな励みになります。母校も負けないように、今年こそ甲子園に出場出来るように頑張ります」。偶然にもこの日の練習試合の相手はダルビッシュの母校で選抜に出場した東北。種市が侍ジャパンのサポートメンバーで合流時にダルビッシュらからの助言をノートに書き込んで学んだのと同様に、選手たちも多くの収穫を得た。

長谷川監督は携帯をカバンから取り出し「みんなに感謝しろよ」と打って、種市への送信ボタンを押した。【鎌田直秀】

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