今季初めて4番に入った日本ハム万波中正外野手(23)が、4打数2安打4打点と今季4度目のマルチ安打でチームを3試合ぶりの勝利に導いた。開幕から不動の4番を務めていた野村佑希内野手(22)が休養のため、今季初めて欠場。オフに改造した打撃フォームと“マイルール”を継続し、4番の代役をきっちり果たした。

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顔の正面に構えたバットを見据えてから、右肩に乗せる。今季の万波には、開幕から変わらない“マイルール”がある。それは、急きょ回ってきた「4番」でも同じだった。今季4度目のマルチ安打で4打点の大暴れ。「最近、得点圏で仕事が出来ていないことが多かった。前の打者がいっぱいチャンスをつくってくれて、こういう結果になったと思うので、みんなに感謝しています」。完璧な仕事ぶりに、胸を張った。

開幕から4番を守ってきた同期入団の野村が、休養のため欠場。今季初めて4番の大役がまわってきた。練習前に知り「ドキドキしました。まさか考えていなかったので、驚きとソワソワとソワソワっていう感じ」。3回1死一、二塁、腕をたたんで巧みに内角球をさばくと、左翼線のボールボーイが待機する椅子に当たる“珍”二塁打。5回1死一、二塁でも左翼線を破る痛烈な適時二塁打で追加点をたたき出した。

昨年11月ごろから打撃改造に取り組んできた。「コンパクトに振りたいなっていうのが一番の理由」と、バットを立てるフォームから寝かせるようになったことで、操作性がアップ。顔の正面で構えたバットを見据えるのは、頭の位置が前に突っ込まないようにという工夫からだ。それが周囲にはカメラ目線に見えてしまう。テレビ画面越しに自分と目が合い「映像を見たら、すごく気持ち悪い。自分と目が合うのは普通、歯磨きしている時くらいなので(笑い)」。それでも、これが好調を支える“マイルール”だ。

チームは2桁借金目前で踏みとどまった。「本州に比べて札幌の桜の開花は遅かった。僕らもここから開花して行けたらいいな、なんて思っています」。野村の欠場は一戦限りで、28日には戦列復帰する予定。反攻の春本番は、これからだ。いつでも4番を張れるように、準備だけは怠らない。【中島宙恵】

■エスコン3勝、防御率0・00

先発した日本ハム鈴木が5回4安打無失点と好投し、リーグトップに並ぶ3勝目を挙げた。2回から4イニング連続で先頭打者を出塁させたが、落ち着いて切り抜けた。「野手の方が点を取ってくれたので粘り強く投げることができました」。規定投球回には3イニング足りないが、防御率はいまだ0・00。「そこは意識していない。防御率で一喜一憂しても良くない」。