最後はソフトバンク今宮のバットが154キロの直球に空を切った。マウンドでは昨年までの同僚だった日本ハム田中正が笑顔でガッツポーズを決めていた。2点を追う9回表。FA移籍で加入した近藤の人的補償で北海道に渡った7年目右腕に、きっちり3人で切り取られセーブを献上。首位返り咲きのチャンスもあったホークスだが、連勝は3でストップした。わずかに勝率で上回っているものの2位ながら3位オリックス、西武とゲーム差なしとなった。

初回に2失点し、さらに4回に野村に4号ソロを被弾した先発東浜巨の投球を振り返った藤本監督は、厳しい顔で反省を促した。「ピッチングとしてはテンポが悪いわね。投げるだけでなく、リズム良く投げないと。打つ方も守る方も、やっぱりリズムというのもがあるからね」。2回は無失点ながら3連打で無死満塁のピンチを招いた投球にも注文をつけた。

前夜(28日)は4番柳田の豪快弾で延長ゲームを制したが、この日は打線が波に乗れない。ハム投手陣に計13三振を喫し、得点は佐藤直の1号ソロの1点のみ。「あと1本が出なかったね」と攻撃面を振り返った藤本監督だが、表情が曇るのはそれだけではない。2番センターで先発起用した周東が初回の中前打で一気に二塁を狙ったがヘッドスライディングした際に右股関節部分を強打。2回裏の守備から交代した。

「(右腰のあたりを示しながら)ここの骨を打ったみたいな感じ。歩けていたからどうなのかだけど、分かりません」。左大腿(だいたい)筋損傷で離脱している牧原大に続いて快足男がチームを離れることになれば、厳しい戦いを強いられることになる。「ケガは野球につきもの。代わりの者がやるしかないから」。そう言うと足早に移動のバスに乗り込んだ。【佐竹英治】

 

○…ソフトバンク東浜が粘りの投球を披露するも、2敗目を喫した。初回に2点を失い、4回には2死から日本ハム野村に初球をソロ本塁打にされた。「前の2人を良い流れで抑えていたので反省しないといけない」と1球を悔やんだ。それでも、5回以降は2安打に封じた。今季最多の7回1/3を9安打3失点。「敗戦の責任は全部、僕かなと思います。試合の流れを悪くしてしまった」と振り返った。

 

○…ソフトバンク佐藤直が今季1号ソロで気を吐いた。0-3の6回1死。日本ハム上沢が投じた外角140キロ直球を引っ張り、左翼スタンドに突き刺した。昨年8月20日同戦(ペイペイドーム)以来のアーチ。プロ通算2本目はともに同右腕からの1発となった。「低い打球を意識した。良いアピールになったのかなと思います」と、2回の守備からの途中出場で結果を残した。