ソフトバンク大関友久投手(25)が1安打、自己最多の13奪三振で完封し、開幕戦以来の2勝目を挙げた。

日本ハムの先頭打者を全て抑え、二塁を踏ませたのは1度だけ。4年ぶりの公式戦となった火の国熊本で熱投を演じ、0-0の9回にサヨナラ勝ちを呼び込んだ。チームは引き分けを挟んで3連勝で、熊本では4連勝とした。

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周東が生還し、サヨナラの勝利を見届けると、大関は笑顔でベンチを飛び出した。「感動しました。『点を取ってください』と思っていて、ほんとうに点を取ってくれた」。ナインと喜びに浸り、4年ぶりの公式戦開催となった熊本でお立ち台にも上がった。「最高です。背中を押してもらえる声援をもらいました」。完封勝利はチーム一番乗り。満員御礼1万4109人のファンから拍手を浴びた。

立ち上がりから140キロ台後半の直球を軸に攻めた。2回1死で万波への四球を与えて初めて走者を出したが、谷内をカウント1-2から外角フォークで注文通りに二ゴロ併殺。ストライクをどんどん先行させ、終わってみれば安打は4回の1本。先頭打者を全て断つ好リズムで、「ストライクゾーンで勝負できた。調子が良かったので打者の手元で真っすぐが強くいけた」と納得の表情だった。

クールな男が、勝利への欲求をたぎらせたのは8回だ。2死二塁。初めて得点圏に走者を背負い、上川畑にカウント1-1から内角148キロ直球を捉えられた。ピッチャー返しが右足のスパイクを直撃。角度が変わった打球を三塁手栗原が素早く処理し、ピンチを切り抜けた。打球直撃にも、大関は「意外と大丈夫でした」と志願して9回マウンドへ。最後、125球はアルカンタラを外角低めフォークで空振り三振。4者連続を含めて、奪三振は自己最多の13に達した。左こぶしを力強く握った。「自然と出ました」。その闘志がその裏、野手陣へ伝わった。

開幕戦以来、5試合ぶりの2勝目を昨年6月以来の完封で飾った。おまけにサヨナラ勝ちで1安打完封勝利は、球団では61年スタンカ以来62年ぶりという珍しい記録。「過去の中でも一番良い投球ができた。そういう意味で成長できていると思いますし、何より勝ったことがいつもよりうれしい」。先発投手陣の一角を担う、若きサウスポーが新たな成長曲線を描き始めた。【佐藤究】