NTT西日本(大阪市)がパナソニック(門真市)をタイブレークで破って、都市対抗本戦出場へあと2勝とした。

試合を決めたのはベテランの一打だった。タイブレークの10回表無死満塁。「2番左翼」で先発出場の中村篤人外野手(31=亜大)に打席が回った。3球目のチェンジアップを捉えて、打球は右翼手の頭を越した。4打席凡退後に、価値ある勝ち越しの3点適時三塁打を放ち、三塁ベース上でほえた。「読みが当たった。抜けてくれて良かった。試合を決めれて良かった」とホッとした表情で振り返った。

社会人野球は10年目。昨年まで2年間の選手兼任コーチを経験した。「昨年はほとんど頭から出ることはなかった。出ても途中から。代打の難しさを体験できたので、いい経験になった」と経験をプラスに捉える。今季は再び選手一本となり、「選手として結果を残さないといけない。そこの責任はある」とさらに気を引き締める。

河本泰浩監督(40)も中村について「昨年までは若手育成もやってもらっていた。選手の練習も見ないといけないので選手として集中するのとまた違う。彼も10年目ということで、選手一本でやらそうと。ベテランとしてチームをまとめてくれているので、いい方向性かなと思う」とチーム内での働きぶりを評価。試合を決めた場面については「ベテランなので任せたと。最高の結果を出してくれた」とたたえた。

中村は個人としては今年で都市対抗10年連続出場がかかる。1年目の都市対抗は日本新薬の補強選手として出場。2年目からはNTT西日本で出場を続けており、「チームで都市対抗に出場するのが目標。今は若い人が多くて、雰囲気とかは出ないとわからない。試合に出ている以上は、東京ドームに連れて行ってあげたい」とさらなる活躍を宣言する。

まだまだ現役としての気持ちは熱く、「ベテランと周りが言うのは自由。たかが10年。ここで終わりじゃないという気持ちでやっている」。チームを9年連続都市対抗出場へと導く。