阪神が4番の特大弾に導かれ、前夜のサヨナラ負けから立ち直った。敵地巨人戦で0-0の4回、大山悠輔内野手(28)が巨人先発の菅野から先制決勝の10号ソロ。生え抜きでは85年岡田彰布以来、38年ぶりの6年連続2桁弾で伊藤将の3勝目を援護した。シーズン折り返しの72試合目は投打がっちりの快勝。2位DeNAとのゲーム差を2に広げ、虎が再び勢いづく。

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4番大山が左かかとを起点にクルリと体を回転させた。中堅左への大飛球は角度、速度ともに申し分なし。気持ちよさそうに両腕を前方へ解き放った。マウンド上の巨人菅野はボールの行方を追うことなく、両手を腰に当てて苦笑いするしかなかった。

「(伊藤)将司が頑張ってくれていたし、なんとか先に点を取ってあげたいと思っていた」

両チーム無得点で迎えた4回2死。無安打投球を続けていた菅野の初球を逃さなかった。外角を狙った148キロ直球が真ん中に吸い込まれると、迷わず強振。決勝10号ソロをバックスクリーン左横の中段席まで届かせた。

「なかなか長打は打てるものじゃない。まずは出塁だとしっかり頭の中で整理して打席に入れたのが良かった」

前夜サヨナラ負けの重苦しい雰囲気を吹き飛ばす1発。岡田監督も「なかなかヒットが出そうな感じじゃなかった。あのホームランが大きかった」と納得のアーチで勝利を呼び込んだ。

28歳。今、地道に体をいじめ抜いている。

「30歳を超えたらガタッとくる、という話も先輩方からよく聞く。長くプレーするためにも…。自分との戦い、ですね」

今季は練習前のルーティンにウエートトレを導入。「キレを出すために」練習中のショートダッシュも継続している。一塁守備位置への往復時もスピードを緩めない。勝負どころの夏場以降へ、全身にため込んだ“貯金”が頼もしい。

6年連続2ケタ本塁打は球団史上10人目。生え抜き選手に限れば、岡田監督の現役時以来7人目の記録だ。指揮官は「まだまだ続くでしょう」と予告した上で「打点王というか、それにこだわってね。そういうタイトルも争ってほしい」と大きな期待値を隠さない。

これでリーグトップのDeNA牧に2点差まで迫る46打点。チームはシーズン折り返し地点の72試合目を白星で飾り、7月を好発進した。試合後、主砲は「必死にやっているだけです」とサラリ。虎が地に足をつけて、首位ロードを丁寧に進んでいる。【佐井陽介】

-【動画】阪神大山悠輔の確信歩き弾 キャッチした巨人ファン、戸惑いながらささやかに祝福される-https://www.nikkansports.com/baseball/news/202307010000606.html-

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