JKBヤング(広島)が決勝でヤンキース岡山ヤング(岡山)を8-1の5回コールドで破り初優勝した。3位は兵庫加古川ヤング、4位はヤング西福岡メッツ。最優秀選手賞にJKBの宮野快生(3年)、優秀選手賞に中村祐月(2年)が選ばれた。

8点リードで迎えた5回裏。決勝でも7点差ならコールド勝ちで初優勝となるマウンドで石部敢大(3年)は少しだけ慌てていた。1点を失い、なおも2死満塁。それでも7点差、しかし、長打が飛び出せば一気に流れが変わりかねない場面。「もう1点もやりたくなかったです」というサイドハンドからの全力投球で見逃し三振。初優勝が決まった。

2日連続のダブルヘッダーを含む3日間で5試合を勝ち抜いた。決勝こそ大差だったが、接戦も多く粘り強かった。重政小次郎監督は「いいところが全部出た大会でした」と選手をたたえた。決勝戦は先発予定だった投手のコンディション不良で、本来は野手の神原温心主将(3年)を起用。初回はその神原の二塁打が突破口になり3点を先制。勢いに乗ると2回にも4点を挙げた。

鋭いライナーを飛ばす強力打線は重松監督仕込みだ。広陵高出身で、2003年(平15)の第75回選抜高校野球に元巨人の西村健太朗投手らと優勝。当時は旧姓片山で、2番レフトで大活躍。神原主将も動画でその雄姿を見ており「熱心に指導してくれるし、監督さんに教えてもらったら絶対に打てる」と信じて練習してきた。

チーム名の「JKB」はチームが拠点とする広島県神石高原町にちなみ「Jinseki Kohgen Baseball」の略称だ。同じ広島県東部の府中広島府中2000ヤングが長く全国大会で活躍しており「府中さんを目標に鍛えてきた」(重政監督)。中学硬式野球は予選も全国もダブルヘッダーが多く、季節を問わず体力強化に取り組んでいる。神原主将は「体力ならどこにも負けない」と、真夏の3日間を勝ち抜いた。

ついにヤングリーグ王者となり、新設されたエイジェックチャンピオンシップ(8月28日開幕)の出場権を手にした。すでに抽選でフレッシュリーグ王者の佐賀フィールドナインと初日に対戦。勝てばダブルヘッダーでボーイズリーグ王者(8月7日決定予定)と翌日阪神甲子園球場で行われる決勝戦をかけて戦う。重政監督は「甲子園に戻りたいなと思います」と、今度は中学球児を率いて、20年ぶりの聖地での優勝を夢見る。神原主将も「楽しみですね。甲子園」とつぶやいた。実感が湧かないなら、重政監督に聞けばいい。体力勝負のハード日程も大丈夫。ヘビーローテーションはJKBの十八番だ。