阪神が劇的なサヨナラ勝ちで3連勝を飾り、優勝へのマジックを「25」に減らした。延長10回2死満塁で、4番大山悠輔内野手(28)が左前にサヨナラ打を放った。今季の京セラドーム大阪では、7戦全勝。貯金を今季最多の「25」に増やし、得意の球場で猛虎がさらに加速した。

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「勝ったな」。大山は打った瞬間勝利を確信し、右拳をベンチに突き出した。球場は一瞬でお祭り騒ぎ。一塁ベースを回り、佐藤輝が真っ先にペットボトルの水をかけると、次々に歓喜のウオーターシャワーを浴びせられた。ユニホームが水でビタビタのままお立ち台に上がった。通算6度目のサヨナラ打。チームとしては今季8度目のサヨナラ勝利だ。「めちゃくちゃ気持ちいいです」。冷静に勝利の味をかみしめた。

「そこまでピッチャー陣が必死に抑えてくれましたし、前のバッターが必死につないでくれたので、『ここは決めるべきだ』と思って打席に入りました」

バットにチームメートの思いを込めた。延長10回、2死から近本が中前打で出塁。中野、森下が連続で四球を選び、満塁の絶好のチャンスで4番に打席が回ってきた。カウント2-1からの4球目、中日田島の甘い139キロを完璧に捉え、打球は弾丸ライナーで三遊間を突破した。2回には右中間への二塁打、8回には左前打を放っており、今季9度目の猛打賞で試合を締めくくった。勝利打点はチームトップの「13」だ。

「四球」でつかんだ1勝だ。延長10回の2四球を含め、チームで9つの四球を選んだ。岡田監督は「もう延長なって、ボール球を見極めた時が一番声が出るなあ、ベンチが。みんな一番喜んでるわ」とニンマリ。大山も「(四球で)喜ばない選手はいないですし、みんなが必死につないでいかないと、勝つというのは難しい。そういう意味では一丸となってできていることだと思う」と胸を張った。総四球数はセ・リーグ断トツの390とした。

劇的勝利で3連勝を飾り、優勝マジックを「25」に減らした。貯金も今季最大「25」。23年の京セラドーム大阪での試合は23日の1試合を残し7戦全勝。球団史上初の全勝締めへ王手をかけた。5試合連続安打、2試合連続猛打賞で打率を2割9分まで上げた主砲は「まずは1つ1つ。目の前の1試合をチーム一丸となって戦っていくだけです」と引き締めた。開幕から全111試合で4番を張り続ける背番号3が、チームの中心でどっしりと構えている。【古財稜明】