ソフトバンクは今宮健太内野手(32)の右中間二塁打で今季8度目のサヨナラ勝利を飾った。0-0の9回2死二塁でオリックス平野佳のフォークを捉えた。先発の和田毅投手(42)は7回3安打無失点、今季最多タイの103球。7勝目を手にすることはできなかったが、2年ぶりに7回を投げ切った左腕の力投に報いた。チームは3カードぶりに勝ち越し、勝率を5割に戻した。

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劇的打は選手会長のバットから生まれた。息詰まる0-0の9回2死二塁。今宮がオリックス平野佳の2球目、低めフォークをすくった。打球は右中間に弾み、二走の三森が悠々ホームイン。自身7度目のサヨナラ打となった今宮は二塁ベース付近で歓喜のウオーターシャワーを浴びた。その中には左肩をアイシングした背番号「21」の無邪気な笑顔もあった。

サヨナラ勝ちは42歳の力投が呼び込んだ。先発和田は7回3安打無失点とゲームメーク。21年6月6日の阪神戦以来、2年ぶりに7回を投げ切った。特に大量の汗を垂らしていた7回は1死からは若月、紅林を連続の空振り三振。今宮は「和田さんのああいう姿を見て、どうも思わない人はまずいない。あの姿で僕らもやっていかないといけないなとすごく思った」と言う。

その裏、7回の攻撃では無死一、三塁の絶好機を作りながら無得点。スクイズ失敗も響き打線は援護できず、和田にチームトップの7勝目をプレゼントできなかった。「今日は7回まで投げてもらって、宮城に負けることなく頑張っていただいた。(7回に)勝ち越すって意識してたんですけど…」。今宮はそう悔やんだが、最終的にチームの勝利という形で“援護”できた。

投手戦にけりをつけてもらい、今季最多タイの103球が報われたベテラン左腕は「勝てて良かった。最後は健太が決めてくれたので、めちゃくちゃうれしかったです」と喜んだ。今後は出場選手登録を抹消せずに登板間隔を中6日以上空ける予定。7回のマウンドは「また立ちたいなと思いました」と意欲は高まった。

3カードぶりの勝ち越しを決めて勝率は5割に復帰。敗れた4位楽天とのゲーム差を2に広げた。藤本監督も「今日のヒーローは今宮ですが、陰のヒーローは和田ですね」と称賛した。8月は10勝14敗と苦しんだが、最終日にベテランが快投。9月は流れを変える。【只松憲】

▼今宮が21年3月27日ロッテ戦以来通算7度目のサヨナラ安打で、ソフトバンクが1-0勝利。今宮の1-0V打はこれで通算8度目で、球団では野村の7度を上回る単独最多となった。パ・リーグで8度以上は10度記録した榎本(東京)に次いで2人目。