85年以来の日本一へ、虎に追い風が吹くか-。日本シリーズ第3戦から戦いの舞台を甲子園に移す。

屋外球場で左打者泣かせの「浜風」が吹く聖地で、日本シリーズの風向きはどうなるのか。球場から一番近いアメダス神戸観測所のデータと、筒井壮外野守備走塁コーチ(48)の証言をもとに、虎党歴20年超の気象予報士・橋本祐佳氏が解説。聖地の「秋風」が「アレのアレ(日本一)」のカギを握るかもしれない。【取材・構成 中島麗】

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甲子園で吹く「浜風」は、右翼から左翼方向に吹く海風(海陸風)のこと。その風によって右翼方向への飛球が押し戻され、左打者泣かせと言われる。橋本氏は「気温の上がる夏によく吹く風です」と話す。屋外球場だけに、風向きが試合の勝敗に大きな影響を与える。例えばリーグ優勝を果たした今年の9月は例年と違った。神戸の91~20年9月の最多風向の平年値は左打者にとってフォローとなる東北東。しかし、今年9月は浜風の南西風だった。観測史上、最も暑い9月だったことから「浜風が吹き続けたのも納得です」と同氏は語る。

その「異変」は10月に入ってもみられた。今月18日からのCSファイナルステージではフォローの「秋風」が予想され、筒井外野守備走塁コーチは「浜風と逆ではなく、ホームから右中間(=東北東)に吹く」と警戒していた。しかし実際には浜風が吹く場面がみられた。18日の広島との第1戦では、2回に佐藤輝の飛球が押し戻され、中飛となった。同コーチは「本来であれば、(外野席の)中段には届く」と振り返る。

31日からのシリーズ甲子園3連戦では、どんな風が吹くのか。橋本氏は言う。「例年より気温が高めの予想。日中は浜風が吹いていても、日が暮れるとホームからセンター方向へ北東の風向に変わる可能性も。バッター有利になるので(相手の打球も)要注意です」。阪神は05年から日本シリーズ11戦連続ノーアーチ。季節外れの浜風か、それとも追い風か。甲子園上空の風向きにも注目だ。

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