楽天からドラフト3位で指名された東海大菅生・日当(ひなた)直喜投手(3年)が30日、都内の同校で指名あいさつを受け、「抑えにまわらせてもらって、毎日投げてチームに貢献したい」と、守護神希望を打ち明けた。

190センチ、100キロの巨漢から、最速154キロの直球と鋭いフォークが武器のパワータイプ。部坂俊之スカウト(49)は「今江監督から言われたのが『パワーピッチャーが欲しい』ってことで。今年はある程度バランスの取れた大学生の投手が多かったので、パワーピッチャーで真っ先に上がったのが日当くんだった。あとフォークボールがあるので」と話した。

連投も苦にしないスタミナも武器だ。昨秋の東京都大会の準決勝(対日大三)、決勝(対二松学舎大付)では「監督さんを甲子園に連れていきます」と2日続けてマウンドに上がり、計270球の力投で聖地への切符をつかんだ。今春センバツ8強入りも、今夏は都大会4回戦敗退で高校野球を“引退”。それからも変わらずボールを投げ続けた。週5~6日、ブルペン投球やシート打撃、フリー打撃に登板し、多い日は約200球を投じた。翌日は「逆に調子良いことが多いですね」と問題なし。さらに「馬力の面というか、疲れ知らずというところが自分の持ち味だと思っています」とタフさを強調した。

若林弘泰監督(57)は「体に不安はないです。本当に一晩寝たら回復してるタフさはあります」と日当のスタミナに太鼓判を押した。

初めて発した「抑え」という言葉でインパクトを残した。高校時代は主に先発を務めた日当は「勝ってる状況で場の雰囲気にのまれないで投げられる投球ができる」と自信を持つ。後関昌彦スカウト部長(60)は「決めつけるわけじゃないけど、あくまでもいろんな可能性の中で、そういうこと(抑え)もできそうだねっていう判断はありました。ボールも強いんでね、フォークボールもあるし、可能性は十分ある」と“素質”を見いだしていた。

強気な18歳はマウンドでは緊張のそぶりを見せない。若林監督があるエピソードを明かす。1年秋から公式戦登板経験のある日当は、下級生時代に緊張からマウンドに向かう前、ベンチ裏で毎イニング嘔吐(おうと)していたという。「毎回毎回ベンチ帰ってきて『うーっ』ってやってるんです。それで涙目でベンチ座ってずっと僕を見てるんです。それくらい多分緊張してるんですよ。でもマウンド上で『メンタル弱いな』とか『ビビってるな』とかいうのは1回もないです。どんなピンチでも、打たれる打たれないは別として、自分のボールを放れます。そんな子はなかなかいないですね。あの強さは」と愛弟子の強さを明かした。

1年目からフル回転を誓った。開幕1軍を目標に「高校生投手だからとか、育成中だからとかっていう言葉は嫌いなので、1年目から気持ちを出して、もう入団しているような選手に負けない結果を」と力が入る。楽天は今季まで守護神を務め通算236セーブを挙げた松井裕が海外FA権を行使する意向を示している。空位となる守護神の座を、1年目ながら虎視眈々(たんたん)と狙っている。【黒須亮】

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