東大初の野手のドラフト指名へ、酒井捷(すぐる)外野手(2年=仙台二)が、直面した課題と向き合った。

3日、松山・坊っちゃんスタジアムで、侍ジャパン大学日本代表候補合宿を打ち上げた。東京6大学野球で秋季リーグ戦のベストナインを獲得し、候補合宿に参加。「率直に自分と代表に選ばれる選手との間には壁がある、レベルの差があると感じました」と冷静に分析した上で、自身の立ち位置を明確にした。

直面した課題を克服し、レベルアップする。そうやってこれまでも歩んできた。「苦手なことに対しアプローチして、練習していく過程は受験勉強に似ている。数学で苦手な分野を勉強するのと、インコースが苦手だから克服するために練習するというのは似ている」。仙台二から現役で文科2類に合格したプロセスを重ねた。その上で「単純にボールを飛ばすことと、肩の強さの差を感じた」と課題に取り組んでいく。

アプローチの仕方は、現代風でもある。「今は情報が発達し、野球の勉強をしようと思えばネット、SNS、本とか手段がたくさんある。昔は『良い指導者に出会えた』とか、必ずしも自分の力ではどうにもならないところが多かったと思うんですけど、今はそういう時代」。東大OBの協力を得て打撃フォームの動作解析をするなど方法論を探り結果に結びつけてきた。

172センチ、76キロで、右投げ左打ちの右翼手。今秋は1番打者として打率3割1分6厘を残し、5本の二塁打はリーグ最多だった。2日の紅白戦では、侍ジャパン井端監督の前で、安打と盗塁をマークし同点の走者として生還。過去6人の東大出身プロ野球選手はすべて投手でドラフト指名された。2年後の25年ドラフトを見据え「その思いは強くあります。情報の取捨選択をして、自分に合った情報を1個1個身に付けていければ、プロというのも無理ではないと思っています」。赤門からプロへの道を切り開く。【栗田成芳】