阪神ドラフト1位下村海翔投手(21=青学大)が12日、球団レジェンドから金言を受け継いだ。都内のホテルでNPB新人選手研修会に参加。球団OBの藤川球児球団本部付スペシャルアシスタント(SA=43)が講師役を務めた講義では「プロ野球選手である前に社会人であれ」と教えを受けた。藤川SAがプロ1年目に当時の野村克也監督からかけられた言葉。現代のトップ選手にも通ずる教えを授かり、一流選手のオーラを身につける。

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講義冒頭のあいさつから、下村は目線をそらさずに聞き入った。壇上には球団の大先輩でもある藤川SA。印象に残った教えは「プロ野球選手である前に社会人であれ」だった。

98年阪神ドラフト1位で入団した藤川SAが当時の野村克也監督から授かった金言。代々引き継がれてきた言葉を心に刻み込み、後輩は自覚たっぷりに決意表明した。

「応援される選手であったり、小さい子どもたちに勇気や希望を与えられる選手が目標。そのために何が必要か日々考えて、1日1日少しでも成長できるように頑張りたい」

「社会人であれ」-。20年以上たっても藤川SAの心に残る言葉。現代のスーパースターにも通じるモノがあると考えるから、レジェンドは新人選手たちに伝えたかったのだろう。

「大谷翔平選手や山本由伸投手など、人間的にも素晴らしい選手がたくさんいる。今はそういった『かがみ』がある。彼らのような、どこに出てもカッコよくて恥ずかしくない選手になって欲しい」

受講した計121人の中には高卒や大卒など、初めて社会人となる選手も多い。一流選手に共通する私生活からのオーラの大切さを説かれ、ルーキー勢は皆一様に目を輝かせた。中でも兵庫・西宮市出身で幼少期から虎党だった下村にとって、憧れの藤川SAと接した約30分はかけがえのない時間となったに違いない。

「グランドに出ればプロ野球選手としての年数は関係ない」

「若いうちにどんどん挑戦」

身になる金言に耳を傾け、時にはメモも取った。「見返して、意識を高く持ってやっていけたら」。自然と口調は熱くなった。

一方で講義冒頭では後悔も残った。「この中で一番うまいと思っている人はいますか?」と問われた際に挙手できなかった。

「自信持って挙げられる選手はそれだけ一番やってきたとか、自分に対して積み重ねてきたものがある人。そうなれるようにやっていきたい」

13日からは鳴尾浜で新人合同自主トレ第2クールが始まる。新たなモチベーションを胸に、再びサクセスロードを走り出す。【波部俊之介】

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