東京6大学野球リーグの慶大は9日、横浜市内のグラウンドで4月入部予定の新入生の練習を公開した。

昨秋、明治神宮大会を制し、今年は連覇がかかるチームに加わった期待の新入生に堀井哲也監督(62)は「入部の動機や大学4年間で何をやりたいかなど。リポートを書かせたんです。それを読むと、みんなやる気に満ちあふれている。慶大でやろうという志は高いですよね」と、個性豊かな新入部員をあたたかく見つめた。

強い意志を持って入部した選手がいる。大分舞鶴の奥本翼投手(3年)だ。高2の夏の大会で、慶大関係者に声をかけられて以来、憧れた。「どうしても慶大に入りたいという思いが強くなりました」。しかし、昨年は受験に失敗。1年浪人して合格した。

昨年は予備校に通い、朝8時の授業開始から夜9時40分まで勉強に明け暮れた。偏差値50からのスタートも、成績はグングンあがり法学部政治学科に合格した。

「しばらく野球とは離れましたが、甲子園はテレビでちょっと見ましたよ。野球をやりたい、という気持ちが、より強くなりました」。1月8日、新入生一番乗りで入寮し、練習を開始。体力は徐々に戻ってきた。

テレビで見ていた慶応(神奈川)の選手たちとは、チームメートになる。「日本一のメンバーとプレーができるのは刺激になります。この中で勝ち抜いて、レギュラーをつかみたいです」と、笑顔を見せた。最速は139キロもコントロールで勝負する。「昨秋、大分舞鶴から初めて、青学大の常広さんが広島に指名され、プロ野球選手が誕生した。4年後は僕が2番目になりたいと思います」と、力強く話した。

報徳学園の林純司内野手(3年)は野球のプレーはもちろん、大学で野球の研究にも興味津々。

環境情報学部への進学が決まり、「『勝負強さ』について、脳に着目して研究したい」と、楽しみは広がる。高校時代から「勝負強い」と言われてきたが「僕の中ではメンタルが弱いと思っている。なぜか。脳科学と勝負強さ、スポーツをどう結び付けるか」。研究結果を自分の野球に生かせれば…。「得点圏にランナーがいる場面で結果を残したり。自分のトレーニングで実践して、結果を残せるようにしたいんです」。守備、送球の良さが持ち味で「神宮の舞台。早慶戦でしっかり活躍できるようになりたいです」。研究をもとに活躍する、新たな選手像が生まれるかもしれない。