花巻東・佐々木麟太郎内野手(18)が、米スタンフォード大に全額奨学金で進学することが分かった。デービッド・エスカー監督(58)が15日(日本時間16日)、日本の報道陣にオンラインで取材対応し、明かした。同大野球部に日本の高校生が入部するのは初めて。奨学金なしなら4年間で約5000万円かかる学費などを、世界2位の超名門大が負担するという好条件で渡米する。

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文武両道を目指す佐々木の渡米は、最高の条件で決まっていた。エスカー監督は「彼はフルスカラシップ。学費も寮費も一切お金がかからない。100%大学が負担する」と明かした。私立である同大は、奨学金なしで4年間通った場合、約5000万円の費用がかかる。日本の高校生で史上最多、通算140本塁打の強打者には「現時点でも(メジャーの)ドラフト1巡目指名の能力を持っている」との評価に見合う条件が用意された。

佐々木の学部や専攻は未定だが、同監督は「ビジネスの世界やスタートアップにも興味を持っている」という。「佐々木はロールモデル(模範的な人物)になりたいと考えている。2年生でドラフト指名された場合でも(引退後に)また3年生から戻って来たいと考えている」と学位取得に意欲的。就任7年目の同監督は、教え子が全員卒業しているのが自慢だ。

同大は世界大学ランキング2位の超名門で、学業レベルが著しく高い。勉強には「全く心配していない。入試課が勉強についていけると合格を判断した。野球だけをやりたくてスタンフォードに来るのではない。文武両道を目標にしていると判断した。野球部も大学もサポートするので授業についていけると思う。英語も上達するはずだ」と期待した。

1月には父の花巻東・佐々木洋監督(48)とともに渡米し、大学施設を見学した。正式入学は9月だが、4月からプレスクールに入って野球部に合流する予定。今年は最長6月25日までの公式戦に出られないが、9月までサマーリーグに参加する。エスカー監督は「ビデオで見たが野球選手としての能力が高く、クリーンアップを打ってもらう。バットスピードが速く大谷翔平に近い。ゲレロ(ブルージェイズ)にも似ている」。来年2月からの公式戦では本塁打王(昨季は22本)と打率3割5分から8分を期待した。

佐々木は、最短で21歳となる26年夏にドラフト対象になる。同監督は「2年後でも4年後でも彼の能力を上げて、準備させるのが我々の仕事。日本人選手は大谷選手らMLBでも大学でもレベルが高い。1巡目の1位でいける力を持っている」。日本人初の快挙へ、育成方針を示していた。【斎藤直樹】