今秋のドラフト候補に挙がる法大の最速157キロ右腕、篠木健太郎投手(3年=木更津総合)がキャンプ終了後、初となる実戦マウンドに先発。8球団10人のスカウトの前で、3回を投げ2安打無失点と好投した。

気温11度、北西の冷たい強風が吹き荒れる中でも、力いっぱい投げ込んだ。初回は3者凡退。2回には「指先の感覚がなくて、抜けてしまった」と2死満塁のピンチにも、落ち着いてスライダーで空振り三振に仕留め切り抜けた。3回1死一塁からは、この冬に習得中というシュートぎみに落ちるフォークを披露。空振り三振に仕留めた。

この日の最速は149キロ。リーグ戦に向け、キャンプの成果を実戦で試していく。「今日は、自分の投げたいように投げることができました」と、確かな手応えに笑顔。視察したロッテ福沢洋一スカウトは「この悪天候でも、これだけのパフォーマンスを出せる。このまま順調にいって欲しい」と言えば、DeNA河野亮スカウトも「練習していた落ち球を試せて、いい感触だったんじゃないかな。順調ですよ」と、高評価をした

成長の影には、2月1日から就任した元近鉄などで活躍した高村祐投手コーチ(54)の存在がある。新しいフォークも高村コーチから教わったもの。「高村コーチは引き出しが多い。試合の中で、どう修正をかけていくか。お互いの意見とすりあわせ、学んでます」。昨年までは制球に苦しむ場面もあったが、修正。「リリースのイメージが安定してきている。もっと上げられると思っています」と、まだまだ上げていく。

関大・金丸夢斗投手(3年=神港橘)、愛知工大・中村優斗投手(3年=諫早農)が、侍ジャパンの一員として欧州代表相手に好投し、注目を浴びたばかり。同級生たちの活躍に、篠木は「自分はまだ、日本のトップレベルの人とプレーするレベルに達していないと思っている。だから、悔しいとか、そこまで深くは感じなかったです」と至って冷静。「頑張らなきゃなーとは思いましたが…」と付け加え、表情を引き締めた。まだまだ上はある。焦らず冷静に足元を見つめ、レベルアップに集中する。視線の先に、春の優勝をしっかりと見つめている。【保坂淑子】