MLBがタンパリング(事前交渉)を固く禁じるため、NPBを含む他国プロリーグ(韓国、台湾、メキシコ)のチームおよび選手との関係性解消をMLB各球団に対して通達していることが25日、分かった。

MLBの従業員はNPBの選手との直接的もしくは間接的な接触も禁じられることになるという。人材の交流による技術指導や、近年のトラックマン(弾道測定器)や、ドライブラインのような動作解析などメジャー流の科学的アプローチが日本にも広がっていたが、知見の共有にも影響が懸念される。

背景にNPB選手への評価の高まりがあったとみられる。昨オフ、大谷は10年総額7億ドル(当時レートで約1015億円)でドジャースへ移籍。山本も12年総額3億2500万ドル(同約455億円)の契約を結んだ。将来的なメジャー移籍を志すロッテ佐々木らの評価も上昇中。過熱する獲得交渉における公平性、規則をより順守させるためにMLBが通達を送った模様だ。

余波は日本球界全体に及ぶ。今キャンプでヤンキースGM付特別アドバイザーの松井秀喜氏が臨時コーチとして古巣の巨人キャンプで指導を行った。パドレスでアドバイザーの野茂英雄氏もオリックスのキャンプで指導。だがMLBの従業員としての肩書がある限り、タンパリング防止の観点からNPB球団で指導するには、MLBの許可を得なければならなくなった。

さらにオフの自主トレをともに活動することが規約違反に当たる可能性も浮上する。通達にある「MLB球団の従業員」に選手も含まれると解釈すれば、NPB選手と自主トレをしてきたパドレス・ダルビッシュやタイガース前田、カブス鈴木、レッドソックス吉田らと弟子入りしていた選手たちへの影響は大きい。

チーム単位での活動にも支障をきたす。MLB球団とNPB球団の業務提携は即座に解消することが求められている。ダイヤモンドバックスと戦略的パートナーシップを締結しているDeNAや、レンジャーズと業務提携を結んでいる日本ハムなどは従来のようにMLBからの知見や情報の提供、コーチ派遣などの人事交流が不可能になる。唐突なMLBの通達に日本球界に混乱が広がっている。