こんなルーキーがいるだろうか。DeNAドラフト1位の度会隆輝外野手(21=ENEOS)が横浜の真っ暗な夜空に豪快なプロ初安打初アーチを描いた。3点を追う3回1死一、二塁、広島九里の初球。弱気な気持ちは一切ない。「自分はやれる!」と言い聞かせた。内角高め129キロスライダーを振り抜き、DeNAファンが集まる右翼スタンドへかっ飛ばした。「思い描いていた通りのスイングができました」と納得の同点アーチ。プロ野球でのハマスタ史上最多動員となる3万3312人が集まった本拠地を熱狂させた。

興奮が抑えられない。一塁ベースを回ったところで右拳を振り切り、猛烈ガッツポーズ。「よっしゃー!」と絶叫した。かつてヤクルトでプレーした父博文さんに憧れ、現在JPアセット証券でプレーする兄基輝の背中を追って3歳で野球を始めた。横浜高時代には指名漏れも経験。ENEOSでの3年の社会人野球経験を経て、ようやくたどり着いた夢舞台で鮮烈にデビューした。

ポジティブ思考はいつでも変わらない。1回先頭のプレーボール直後、菊池の打球が照明にかぶって捕球できなかった。本拠地横浜スタジアムで自身初のナイターに、翻弄(ほんろう)された。記録は安打も東ら先輩たちに謝罪。初の公式戦でのみ込まれかねない状況でも自分を信じ続けた。

小学生時代から変わらない。北砂リトル時代、現監督の久保喜一郎コーチに激怒されたことがあった。大事な大会でベルトを忘れ、ベンチスタートに。度会は反省して号泣しながらもベンチから全力で声を張り上げて応援した。すると同僚の投手にライナーが直撃して負傷交代。予期せずに得たチャンスを得ると、代打でライトに豪快アーチを放った。怒るに怒れなくなった久保コーチは「なんでこういう時に打つんだと(笑い)。でも、いつも何か持っている。明るくて打撃が大好きな子でしたね」。常に明るく元気よく。そんなルーキーに、初安打初本塁打という衝撃の形で、野球の神様がほほ笑んだ。【小早川宗一郎】

【動画】DeNAルーキー度会隆輝、開幕戦プロ初ヒットが同点3ラン!ガッツポーズで雄叫び

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