ゴールデンルーキーが24年のプロ野球第1号アーチに、ほえた。DeNAドラフト1位の度会隆輝外野手(21)が開幕戦でプロ初安打初本塁打を決めた。広島戦(横浜)に「1番右翼」で先発出場。3点を追う3回1死一、二塁、広島九里から同点の1号3ランを放った。新人の開幕戦本塁打は史上14人目の快挙。ルーキーながらオープン戦首位打者に輝いた背番号4が、4年目の三浦監督政権下で初の開幕戦白星を届けた。

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こんなルーキーがいるだろうか。度会が横浜の真っ暗な夜空に豪快なプロ初安打初アーチを描いた。3点を追う3回1死一、二塁、広島九里の初球。弱気な気持ちは一切ない。「自分はやれる!」と言い聞かせた。高めスライダーを振り抜き、右翼スタンドへ。柵越えを見届けると大興奮でガッツポーズし「よっしゃー!」と絶叫した。「夢に描いてた舞台で打てた。シンプルにうれしい」とプロ野球でのハマスタ史上最多動員3万3312人のスタンドを熱狂させた。

師匠の言葉に元気な姿で応えた。この日の午前10時、ENEOSでともに自主トレしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)から「とうとう開幕だね。無理して頑張りなさい」と粋なメッセージをもらった。「アメリカで見てくれてると思う。打てて良かった」とかみしめた。

ポジティブ思考はいつでも変わらない。本拠地で初のナイター開催。1回先頭のプレーボール直後、菊池の打球が照明にかぶって捕球できず。「何も見えなくて。顔に当たっても止める覚悟でした」。雰囲気にのみ込まれかねない状況でも「悔いなくやりたい」と自分を信じ続けた。

昔から“持ってる”男ぶりは変わらない。北砂リトル時代、大事な大会でベルトを忘れて激怒された。ベンチスタートで反省して号泣しながらも、声を張り上げて応援した。すると同僚の投手に打球が直撃して負傷交代。代打で出番を得るとライトに豪快アーチを放った。怒るに怒れなくなった久保コーチは「なんでこういう時に打つんだと(笑い)。でも、いつも何か持っている子でした」と懐かしんだ。

初のお立ち台ではガッツポーズをつけてノリノリで「最高でーす!」を4度繰り返した。「京田さんや大和さんから派手にいったほうがいいと言われたので、派手に行きました」と目を輝かせた。常に明るく元気よく。そんなルーキーに、野球の神様がほほ笑んだ。【小早川宗一郎】

 

◆度会隆輝(わたらい・りゅうき)2002年(平14)10月4日、千葉県生まれ。横浜高では1年夏から2季連続で甲子園出場。卒業後は社会人野球のENEOSに進み、2年目の22年都市対抗では優勝に貢献し、野手で史上初めて橋戸賞、若獅子賞、打撃賞の3冠に輝いた。昨年ドラフト1位で中日、ロッテとの3球団競合の末、DeNA入団。183センチ、83キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄。父博文さん(52)は元ヤクルト内野手。

【動画】DeNAルーキー度会隆輝、開幕戦プロ初ヒットが同点3ラン!ガッツポーズで雄叫び