今秋ドラフト1位候補の青学大・西川史礁外野手(4年=龍谷大平安)が好スタートを切った。8日、東都大学リーグが開幕。4番西川は国学院大戦の初回に適時打を放ち、3季連続優勝を狙うチームも1-0で勝利。3月には侍ジャパンでも躍動した大学生が、代表の井端弘和監督(48)が視察する前で存在感を見せた。新監督率いる亜大、駒大もそれぞれ先勝した。

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西川は強靱(きょうじん)な背筋があるからこそ、浮いたフォークにも強振で反応できる。レフトへの先制適時打にホッとした。「とにかく打席で考えることはいつも、もう変わらず」。初球からフルスイングが信念だ。

ありあまる才能を認めて侍ジャパンに呼んだ井端監督も言う。「初球からどの投手(相手)でもフルスイングできるのはなかなかできることじゃないです」。侍の試合でも初球を強く仕留め、プロ野球ファンをわかせた。ただこの日はカウント2-1からの適時打だった。

「ゾーンを上げていて、ちょっと低いなって感じたので捨てようというか。結果、ストライクになったんですけど」。

注目が高まっても、初球狙いを公言してきた。ライバルたちも知るところだ。国学院大の先発・坂口翔颯投手(4年)は「振ってくれるところに対して、逆につけ込むというか。小さく(球を)動かせば1球で終わったり」と練った。この日は駆け引きで上回っての2安打。熱くなりすぎない程度の積極性が、ネット裏の12球団スカウトをくぎ付けにする。

東都リーグから昨季、7人のドラフト1位投手が誕生した。今年は現時点で群を抜く投手がおらず、この日の3試合のように接戦も増える。ひと振りで勢いを持って行く西川は、最大限に警戒される。いかにその上を行くか。「打ちミスがあったので、このあと修正して明日の試合に臨んでいきたいなと」。戦国東都の主役にふさわしい、開幕戦の働きだった。【金子真仁】