「おかわり君」が、どでかく美しい1発を放った。西武中村剛也内野手(40)が、ロッテ2回戦(ベルーナドーム)の1点を追う9回1死、左翼に同点本塁打を放った。

試合には延長戦の末に敗れたが、41歳シーズンもホームランアーチストぶりは健在。この1本で04年から21年連続本塁打となり、球団新記録を達成した。通算500本塁打までも残り28本。大台に一歩ずつ、着実に近づいていく。

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高々と舞い上がる、きれいな放物線を描いた。1点を追う9回1死。絶体絶命の状況で、中村剛がみせた。ロッテ5番手の横山に対し、カウント2-2からの5球目、やや外寄り高めの146キロ直球を振り抜いた。白球は長い滞空時間を経て、西武ファンが待つ左翼スタンドへ吸い込まれた。

プロ23年目、今季27打席目での今季1号はプロ3年目の04年から21年連続本塁打となり、球団新記録となった。それでも、中村剛はいつも通りだった。試合後。報道陣から完璧かと聞かれても「そうですね、はい」。表情は変わらず、淡々とした姿をみせた。

1月の自主トレからバットを振り込んできた。近年は若手投手を中心に、160キロ前後のスピードある直球を投げ込む投手が増えている。打席でのアプローチ、バットへのボールの当て方も、時代とともに考えている。一般的にボールの下側をたたくことでスピンがかかり、打球が伸びるとも言われるが、独自の感性も大切にする。「ボールをしっかりとらえるというところをやって、それがうまいことボールの下に入ったら、そのまま上に上がっていくという感覚で」。まずはとらえることを第一に、練習から意識してきた。

オフに「できれば30本ぐらいは打ちたい」と話していたベテランは、大台となる通算500本塁打まで残り28本と迫った。松井監督からは「記録というのは長くやっているからこそ、積み重なったものが記録になっていくと思うので。毎年いい準備、体調を維持して出てくれるので、そこはやっぱり助かりますね」と、たたえられた。チームは延長10回に勝ち越されて2-3で敗れて今季2度目の2連敗を喫したが、「なかなかいい打撃ができていなかった。最後いい本塁打だったので、何とかつなげていきたいなと思います。何とか頑張ります」。言葉は少なくとも、その存在感は大きい。【山崎純一】

【動画】西武中村剛也が球団最長21年連続ホームラン!9回1死の同点弾でチーム救った