中大の1年生右腕、東恩納蒼投手(沖縄尚学)が大学初先発で5回3安打1失点で2勝目を挙げた。リリーフで初勝利した開幕2戦目(駒大戦)に続く白星で国学院大に先勝。1年生が春のリーグ戦で開幕から2連勝したのは、09年亜大・東浜巨(ソフトバンク)以来、15年ぶりになった。青学大は今秋ドラフト上位候補の西川史礁外野手(4年=龍谷大平安)が3安打1打点で勝利。日大は今季初勝利を挙げた。

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東恩納は、ゆったりとしたフォームから130キロ中盤の直球に変化球を丁寧に投げ分けた。走者を出しても慌てない。落ち着いて縦のスライダーと緩いカーブを自在に操った。「最少失点で抑えられてよかったです」。1年生とは思えない、堂々たる投球でつなげた。

相手が誰であっても、気持ちはブレない。昨年U18高校日本代表でチームメートだった国学院大・緒方漣内野手(1年=横浜)と対戦。「相手として嫌な選手だった」と振り返ったが投球に集中。3打数無安打に打ち取った。開幕2連勝にも表情は緩めない。「1年目で警戒されていないからだと思います」と謙遜しながら「スライダーが有効だと思っています」と、手応えはつかんでいる。

高校の先輩、東浜の背中を追う。2人を育てた沖縄尚学・比嘉公也監督(42)は「緩いボールでストライクを取ったり、打者の打ち気をそらすところは似ている」と2人の姿を重ね合わせた。特に似ているのはカーブだという。「巨の方がもっと回転数が多いと思う」と前置きした上で「簡単に1球で打ってもらう球種としては楽。省エネ投球につながるというのは、2人によく話しました」。同じ野球をたどり、成長した。

沖縄尚学から東都大学リーグへ。東恩納は「東浜さんは目指すべき存在ですが、自分はまだそのレベルではない。まずは勝てる投手を目指します」。先輩・東浜の東都通算35勝13敗に挑む準備はできている。【保坂淑子】