<楽天3-0巨人>◇15日◇Kスタ宮城

 表情が豹変(ひょうへん)した。8回1死一、二塁からダブルスチールを敢行したが、一塁走者が走らなかったことについて質問された巨人原監督は「一塁ベースコーチのボーンヘッドだ」とピシャリ。それ以上、話すことはなかったが、体中から怒りのオーラが発散されていた。

 果敢な作戦で、一気に好投手の岩隈を攻略するはずだった。しかし、二塁走者の鈴木尚は三盗を決めたが、一塁走者の木村拓は二盗を決められず一塁でストップ。ダブルスチールの意図は「2点を取りにいく」と「併殺を阻止する」という2点だったが、結果は1死一、三塁から小笠原が併殺。最悪な結末で無得点に終わり、完封負けを喫してしまった。

 木村拓は「120%、アウトになったらいけない場面。でも、ランナーを考えれば走ってくる状況だし、ついていけなかったオレのせい」と潔く反省した。しかし、福王一塁ベースコーチは「連携ミス?

 うーん、スタートを切れなかったってことだね」と無責任なコメント。選手だけに責任を押し付けるような発言だった。

 1度だけではない。5月29日の楽天戦、矢野が二盗を失敗して試合終了になったときも、福王コーチが盗塁のサインの確認にもたつき、相手ベンチにバレて失敗。6月6日のロッテ戦、連続安打記録中だったラミレスの三塁ゴロはセーフに見えたが、福王コーチの抗議はなし。コーチの仕事を怠っただけではなく、責任感もなく、選手を思う気持ちもなし。原監督の怒りもピークに達していた。

 作戦失敗した事実より、監督、コーチ、選手が一丸になれなかったという事実が再び浮き彫りになった。浮上への糸口は、またしてもつかみ損ねてしまった。【小島信行】